【フロントランナー 地域金融】京都銀行帷子ノ辻支店の辻川葉子主任(1)


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 ■マイナスのフレーズにも共感

 「預かり資産の担当になるまでは、値動きのある商品に対する不安など、投資に関して多少ネガティブなイメージを持っていたと思います。そのときの気持ちを忘れないことで、お客さまに寄り添った提案ができるのかもしれません」。こう話すのは、京都銀行帷子ノ辻支店の辻川葉子主任だ。

 辻川さんは「個人金融アドバイザー」として預かり資産業務を担当。来店誘致や訪問のアポイントをとり、顧客への積極的な資産運用提案を行っている。

 顧客との面談にあたり、辻川さんが最も気をつけているポイントは、「マイナスのフレーズにもすべて共感する」ことだ。「金融機関に限らず、『営業される』ことに対しては、少なからずストレスを感じて身構える人が多いものです。その気持ちはよく分かるので、自然と共感できている部分も多いと思います。まずはお客さま側に聞く態勢ができていなければ、どんなに優れた提案であっても響きません」と、辻川さんは話す。

 資産運用の話題を出したとき、「いや結構です」と拒否反応を示す人は少なくない。しかしそれは、営業されることへの反応以外に、資産運用や特定商品に対する反応の場合もある。「投資は嫌」という人でも、これまで投資に縁がなく漠然とマイナスイメージを持っている場合、過去に損失を被った経験からマイナスイメージを持っている場合などさまざまだ。

 そこで辻川さんは、顧客の気持ちに寄り添い、拒否反応を引き起こしている要因を探っていく。「分からないものをセールスされるのは怖い」「損をしたくない」「面倒だから嫌」といったマイナスフレーズを“切り返す”のではなく、「そうですね。分からないものは怖いですよね」とすべて肯定的に受け止める。そのうえで「何が分からないのか」「どんなことが面倒だと思うのか」など、顧客が持つ資産運用へのイメージを聞き出していく。誰しも自分の言葉に共感されると相手への警戒心が薄れ、話しやすくなる。

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 (編集協力)近代セールス kindai-sales.co.jp