富士通と九大、AIで農業効率化の共同研究 収穫時期を予測、需給調整

富士通の本社が入る汐留シティセンター=東京都港区
富士通の本社が入る汐留シティセンター=東京都港区【拡大】

 富士通と九州大学は、人工知能(AI)を使った効率的な農業生産について共同研究を始めた。4月から2年間取り組み、富士通は研究成果を基にスマート農業の具体的なサービスを開発、製品化を目指す。

 共同研究では、九大の伊都キャンパス(福岡市)内にスマートハウスと呼ぶ専用の場所を今秋に用意する。九大の植物生体計測・評価技術と富士通の画像処理技術を用い、カメラで撮影した植物の草丈▽葉数▽茎径-などから生育状況を把握。その上で、その植物が置かれている状況などを勘案してAIが成長速度や収穫時期をリアルタイム予測する。

 スマートハウスは室内の気温調整などを行い、植物にとって最適な条件となるよう環境を制御。生育をコントロールし、需要に合わせた効率的な生産を実現する。

 植物の生育は、天候など条件が変わりやすく、その影響を直接受ける。また、農家の個々のノウハウに依存する面もあり、収穫時期や量、品質がばらつきがちになる課題が指摘されていた。

 AIやIoT(モノのインターネット)を活用した農業の効率化は、各社が注力する分野だ。ソフト開発のオプティムが昨年行った実証実験では、88アールの大豆畑をドローンで撮影し、AIによる画像解析で病害虫の被害のあるエリアのみを検出。農薬をピンポイント散布することで農薬使用量を従来の10分の1まで削減することに成功した。同社はこの成果を基に事業化を急いでいる。