【高論卓説】海賊版サイト「漫画村」遮断 類似サイト根絶 収益没収の仕組みを (1/2ページ)

漫画海賊版サイトの画面複写=東京都千代田区(川口良介撮影)
漫画海賊版サイトの画面複写=東京都千代田区(川口良介撮影)【拡大】

 インターネット上に違法アップロードしてあるコミックスにリンクを張った海賊版サイト「漫画村」がネット界で大変な話題になっている。漫画村とは、2017年10月25日に運営者・lichiro ebisu(本名非公開)が公開した海賊版コミックス閲覧サイト。1カ所にまとまっていて読みやすいこと、新刊本であっても無料で読めることから一部ユーザーの間で広まっていた。

 出版社や作者にとってはとんでもないサイトなのだが、漫画村運営者は「他のサイトにリンクを張っているだけであり違法ではない」と宣言。そのことによって利用者の罪の意識を軽減するような効果ももたらしていた。危機意識を持った日本漫画家協会が2月になって利用しないよう呼び掛ける声明を出したが、これで利用が減ることはなかった。

 日本のコミックスを重要な輸出産業と位置づける政府は、権利者に看過できない規模の損害を与えていると判断。今月13日に、「漫画村」など3種の海賊版サイトに対して接続しないよう、インターネットプロバイダー(接続事業者)に促すことを決めた。プロバイダーによる特定サイトへの接続遮断は、これまで児童ポルノについて緊急避難的に行われてきた経緯がある。今回、ほとんど議論もないまま海賊版サイトがその対象になったことには強い反対意見がある。

 いずれにしろ、多くのプロバイダーが政府の指示に従って海賊版サイトへの接続を遮断した。そのため、一時的にこうした海賊版サイトへの接続はできなくなっている。しかし、数多くのそっくりサイトが登場している。コミックスを違法にアップロードし、そこに多くのユーザーを集めることで広告収入を稼ごうというやからは多く、政府がいくら騒ぎ立てようとも「いたちごっこ」が続くことになる。

 同じような問題は、CDの楽曲や映画・テレビ番組などでも経験してきた。違法アップロードコンテンツを全て撲滅することは難しいため、権利者側はビジネスモデルを変えざるを得ない。無料で見てくれる人たちをファン予備軍としてとらえ、フリーミアムモデル(基本部分のサービスや製品はフリー=無料で幅広く提供し、プレミアムなサービス・製品に課金するビジネスモデル)を編み出し、そこを徹底的に磨き上げるしかない。

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