【スポーツi.】プロ野球、肖像権も「メジャー式」で 公取委の報告書から考える選手契約 (1/3ページ)

ソフトバンク対ロッテ戦でサヨナラ本塁打を放つソフトバンク・柳田=15日、鹿児島県立鴨池野球場
ソフトバンク対ロッテ戦でサヨナラ本塁打を放つソフトバンク・柳田=15日、鹿児島県立鴨池野球場【拡大】

 □二松学舎大大学院非常勤講師・宮田正樹

 2月に公正取引委員会が発表した「人材と競争政策に関する検討会」の報告書を読んで、プロスポーツ選手の契約の見直しの好機が訪れたと感じた。報告書は「個人として働く者」すなわちスポーツ選手ら「フリーランス」と呼ばれる人(役務提供者)の獲得、雇用をめぐり企業(使用者)間で行われる競争について、また、その競争を妨げ役務提供者に不利益をもたらし得る使用者の行為に対する独占禁止法上の考え方を整理した。

 注目したのは、「役務提供者の肖像などの独占的な利用を許諾させること」が優越的地位の乱用の観点から、独占禁止法上問題となり得る行為として挙げられている点だ。日本のプロ野球選手の肖像権は、統一選手契約に基づき、所属球団に譲渡されているか、または独占的に使用許諾されている。選手が個人的な権利として行使できない。企業へのライセンスなど商業的使用・利用は選手の個別的承諾なしに球団が行える。

 肖像権 球団が保有

 1999年に日本野球機構(NPB)が選手、球団名の使用を3年間、コナミに独占させる、との内容の契約を締結したことをきっかけに、肖像権の取り扱いの不公正さにたまりかねた選手たちが、「プロ野球ゲームソフトおよびプロ野球カードについて、原告らの氏名および肖像を第三者に対し使用許諾する権限を有しないことを確認する」として2002年に東京地裁に提訴。日本のプロスポーツでは珍しい法廷闘争が繰り広げられた。

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