「娘がパワハラを受けた、300万払え!」…温厚社長がクレーマーを訴えた、その結末 (1/4ページ)

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 もし、事実無根の訴えを社員側から起こされたら、経営者はどう動くべきか。世の経営者は、営業は剛腕でも、人の問題となると弱腰で、ズルズルと問題を引っ張ってしまいがちだ。「問題を長引かせても、誰も得しない。裁判に持ち込む権利は、会社側にもある」と島田直行弁護士は言う。

 何となくあやしい、と思いつつ採用

 労働裁判を会社から仕掛ける。経営者などを集めたセミナーでそう語り始めると、参加者が「そんなことできるの」と身を乗りだして聞きだす。

 労働裁判といえば、労働者が訴えるものというイメージだろう。経営者はとかくディフェンス一本という構造になってしまいがちだ。だから「会社側がイニシアティブをとって動くこともできます」と言うと、「まったく想像できない」という経営者が少なくない。

 しかし、誰もが裁判を受ける権利を持っている。会社から労働者を相手に裁判をしてもおかしくない。実際のところ、私は会社側から申し立てることも少なくない。イメージをしやすくするために、過去の事例を紹介しよう。

 相談者は、九州にある介護事業所だった。介護の分野は、恒常的な人手不足もあって、安易な採用から労働事件に発展することがしばしばある。とくに問題を引き起こしては他の施設に移っていく渡り鳥のような人もいる。「何となくあやしいな」と感じつつも、目の前の人手不足から、採用してしまうのが経営者の悲哀でもある。

 本件の対象者は若い女性だった。遅刻や利用者とのトラブルがたえなかったことなどにより、話し合って、退職してもらった。そこまではよかった。問題は、退職後からはじまった。突然、女性の両親が興奮した様子で事業所を訪問してきたのだ。

深夜にも、おかまいなく攻撃的電話