【ケータイWatch】1日90円、海外でデータ定額

PocketWiFi海外データ定額向け端末の「701UC」
PocketWiFi海外データ定額向け端末の「701UC」【拡大】

 ■ワイモバイルの新サービス開始

 ソフトバンクが手掛ける携帯電話ブランドのワイモバイル(Y!mobile)の新サービス「Pocket WiFi 海外データ定額」がスタートした。普段は国内で月額3980円(7ギガバイト)というプランで利用しつつ、海外滞在時には1日90円で利用できるという内容だ。

 ◆現地通信に最適化

 これまで、海外で携帯通信サービスを利用するには、追加費用がかかる海外ローミング、1週間などの単位でモバイルWi-Fiルーターを利用できるレンタルサービス、渡航先で現地の携帯電話事業者と回線を契約する現地SIMの利用、といった手段があった。

 一方、Pocket WiFi 海外データ定額では、uCloudlink社(本部・中国深センの「Cloud(クラウド) SIM」プラットフォームを活用し、海外滞在中は最適な現地通信事業者に接続して通信する「現地SIM」に近い仕組みだ。1年に何度も出張や観光旅行で海外を訪れるユーザーの利用が想定されている。

 Cloud SIMは、数年前から日本国内でも購入と利用が可能になっていたが、携帯通信会社を通じた提供は世界でも初めて。国外に到着すると現地の契約情報をダウンロードし、現地回線で利用するという触れ込みだが、その仕組みはどうなっているのか。

 uCloudlink社の日本法人であるuCloudlink Japanの陸嘉嘉営業サポート部部長によれば、uCloudlinkでは「SIMバンク」という装置に世界各地のSIMカード(ローカルSIM)の情報をサーバーに保存しておくという。ユーザーが渡航すれば、端末に内蔵される1枚の“ローミングSIM”を使って、位置情報などをサーバーに報告する。その報告に基づいて、サーバーに保存されている各地のSIM情報から、ユーザーの滞在国にマッチするプロファイルを選定して端末へダウンロードするという流れだ。

 同社の郁星星取締役は「電波の強弱やサービスエリアが各地の事業者によって異なる。Cloud SIMでは、ユーザーの状況に合わせて最もつながりやすい事業者のプランを選ぶ」と説明する。

 ◆1回線を複数シェア

 では、1日90円という割安なプランはどのように決定したのか。ソフトバンク Y!mobile事業推進本部の吉永美穂氏は「ターゲット層の過去の滞在期間の平均値や、国内および国外での料金からバランスを取っている」と解説する。

 携帯通信会社にとってはこれまでにない海外ローミングの料金体系となるが、社内では大きな反対もなく導入が決まった。郁氏によれば、Cloud SIMの仕組みとして「1対複数」という点が肝だという。

 1対複数とは「現地の1回線を、複数のユーザーでシェアする」という意味だ。例えば、Aさんが渡航先でCloud SIMの仕組みを使って通信したとしよう。Aさんが利用した回線は、Aさんが帰国するなどして利用されなくなれば、そのままBさんやCさんが使うというイメージ。郁氏と陸氏は「Cloud SIMは合理的で効率が良い」とアピールする。

 新機種のモバイルWi-Fiルーター「Pocket WiFi 701UC」(uCloudlink製)は価格が3万7800円。割賦の支払いと毎月の割引が相殺され、実質0円で提供される(プランの契約期間は3年)。

 ソフトバンク商品企画部の吉永珠里氏によれば、「701UC」は、Cloud SIMという仕組みもあって、SIMロックを施すことはできなかったという。既存のuCloudlink端末の中には、701UCによく似た機種もあるが、それとは同一機種ではなく、ワイモバイル向けにカスタマイズした端末になる。Pocket WiFiブランドがこれまで長く提供されていることや、ソフトバンク内でも新たな取り組みにチャレンジする姿勢を強く打ち出していることから、ワイモバイルブランドで展開されることになった。

 uCloudlink社は、年内にも新たな機種をラインアップに加えられるよう準備を進めているという。海外の展示会でスマートフォンタイプの端末も紹介していることから、将来的にはスマートフォンへのCloud SIM搭載も期待されるが、同社が今後開発する機種がワイモバイルやソフトバンクの端末として提供されるかどうかは未定だ。

 Cloud SIM対応端末が、ユーザーにどう受け入れられていくのか。量販店で扱われるのも初とのことで、ユーザーからの反応を見つつ、ソフトバンクとuCloudlink社は今後の展開を探っていく構えだ。(インプレスウオッチ)