【トヨタ 新たな闘い】(中)「カイゼン」のライバルはロボやAI…若手、匠の技を継承 (1/2ページ)

トヨタ自動車の研修制度「高技能者育成ワーキング」に参加し、作業をする高部大輔さん(左)と見守る指導員=3月、愛知県豊田市
トヨタ自動車の研修制度「高技能者育成ワーキング」に参加し、作業をする高部大輔さん(左)と見守る指導員=3月、愛知県豊田市【拡大】

  • トヨタ自動車の企業内訓練校「トヨタ工業学園」の卒業生たち=2月、愛知県豊田市

 ■「カイゼン」のライバルはロボやAI

 工場の自動化が進んだ現在も、トヨタ自動車では技能員が作業の無駄を徹底的に省く「カイゼン(改善)」の取り組みで、効率や品質を高めている。「職人の技能こそ競争力の源泉」とし、匠の技を継承するため若手育成に力を入れる。ただロボットや人工知能(AI)が発達すれば、製造現場の常識が通用しなくなる恐れもある。

 熟練職人が高齢化

 熟練職人の動作は機械の動き方に応用されており、現場たたき上げの河合満副社長は「職人の成長が止まれば、機械の技術革新も止まる」と断言する。一方で、自動化の影響で日々の業務から手作業は減りつつある。高齢化も進み、5年後には工場で働く技能員の約4割が50歳以上となる見込み。幹部は「経験豊富な技能員が年々退職し、少なくなっている」と明かす。

 トヨタが約5年前から取り組むのが「高技能者育成ワーキング」。国内の工場から30代を中心に若手を選抜し、集中的に手作業の技を教え込む。海外工場での現場実習も含めた1~2年の研修だ。

 元町工場(愛知県豊田市)の一角で3月、研修に参加中の高部大輔さん(32)がフロントガラスの縁に接着剤を塗りつけていた。専用の機器の引き金を指で調整し、接着剤を出す量を均一にするところが腕の見せどころだ。隣では指導員が真剣な表情で見守る。

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