日本企業、ドル債に二の足 スプレッド上昇 今年度は発行減へ

強力な金融緩和政策を継続する日銀の姿勢も日本企業のドル債発行減の要因だ(AP)
強力な金融緩和政策を継続する日銀の姿勢も日本企業のドル債発行減の要因だ(AP)【拡大】

 日本企業のドル債発行が昨年度の過去最高から今年度は減少する見通しが出ている。スプレッドが上昇しているためで、日本市場とは対照的だ。

 ブルームバーグのデータによると、日本勢のドル債は昨年度に約784億ドル(約8兆5515億円)と9%増加したが、1~3月期は16%減った。2月の米債務上限の引き上げ合意で米国債増発による金利先高感が台頭し、米社債スプレッドが急上昇したことが響いた。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は引き締め路線を堅持する意思を2月に示した。米金利は上昇基調でドル債には逆風が吹いている。

 米国以外に欧州でも金融政策の転換が起きており、欧州中央銀行(ECB)は年内に量的緩和(QE)を終了させる見通しだ。これに対して日本では、強力な金融緩和継続を強調する黒田東彦日本銀行総裁が2期目に入った。この金融環境の違いからドル債の減少と円債回帰につながる可能性がある。低金利下の国内社債市場では、4月以降、電力を中心に前倒しで起債する動きが出ている。

 BNPパリバの中空麻奈チーフクレジットアナリストは、米社債スプレッド拡大で今はリスクオフモードだと指摘、この状況が続けば「国内勢が外債を発行しにくくなる」と予想した。ブルームバーグ・バークレイズ指数によると米投資適格社債の平均スプレッドは、2月初めの0.85%から1.10%まで拡大している。

 マネックス証券の大槻奈那チーフアナリストはロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の急上昇も踏まえて、国内発行体のドルの市場調達について「これだけコストが高いことを考えると、少なくとも時期をずらそうということになる」との見方を示した。ドル債発行も減少する可能性があると指摘している。

 メリルリンチ日本証券の鈴木良太債券資本市場部長も、今後ドル債のスプレッドがさらに大きく拡大して「ドルより円のマーケット環境が大幅に良ければ、ドル債が減る代わりに円債が増える可能性はある」と述べた。同時に「歴史的に見ると現時点の水準は低利だ」として、起債をやめる動きにはつながっていないとの見方を示した。(ブルームバーグ Issei Hazama)