【スポーツi.】グローバル化で手法に限界か 五輪スポンサー、賛同全企業に「開放」を (3/3ページ)

工事が進む新国立競技場=2月26日(日本スポーツ振興センター提供)
工事が進む新国立競技場=2月26日(日本スポーツ振興センター提供)【拡大】

 現在のオリンピックマーケティングの源となる1984年ロサンゼルスオリンピックは総経費5億ドル。税金を使わずして2.15億ドルの黒字となった。資金元のオフィシャルスポンサー35社とオフィシャルサプライヤー64社に加えて、65社にライセンスを与えライセンスのない関連商品の国内販売を禁止した。排他によるシンプルな価値交換プログラムで費用対効果を拡大させた。

 しかし、ビジネスがグローバル化する昨今、現状のマーケティングプログラムでは限界に達したのでないか。世界展開する企業にとってはスポンサーとしての魅力が薄い。スポンサー企業を増やしたいのであれば、国内スポンサーはオリンピックに賛同する全ての企業に一律の権利を与えてはどうか。排他独占的権利はその営業活動で同権利をかたくなに堅守する広告代理店業界で十分ではないだろうか。

【プロフィル】川上祐司

 かわかみ・ゆうじ 日体大卒。筑波大大学院修士課程スポーツシステム・健康マネジメント専攻修了。元アメリカンフットボール選手でオンワード時代に日本選手権(ライスボウル)優勝。富士通、筑波大大学院非常勤講師などを経て、2015年から帝京大経済学部でスポーツマネジメントに関する教鞭をとっている。著書に『メジャーリーグの現場に学ぶビジネス戦略-マーケティング、スポンサーシップ、ツーリズムへの展開』(晃洋書房)がある。52歳。大阪府出身。