【JAPAN style】QRコード、連携…誘客へ観光サイト差別化合戦 (2/3ページ)

全日本空輸が4月に開設した訪日客向け情報案内サイト「JapanTravelPlanner」。旅程作成に加え、SNSなどのリアルタイム情報を表示させる機能も(同社提供)
全日本空輸が4月に開設した訪日客向け情報案内サイト「JapanTravelPlanner」。旅程作成に加え、SNSなどのリアルタイム情報を表示させる機能も(同社提供)【拡大】

  • オリックスが始めた訪日客向け情報案内サービス。観光案内所などに設置したQRコードを読み取ると、自動的に地元情報満載のサイトが見られる=埼玉県川越市(同社提供)

 QRコードは設置された場所ごとに識別され、外国人がどのQRコードを読み取ったかが追跡できる。自治体は訪日客の足取りを把握した上で、今後の観光施策に生かすことが可能で、「困った訪日客が滞留しそうな場所」(同社)を中心に、9月までに最大70自治体に、最大1万枚のQRコード設置を目指す。

 インターネットの普及を背景に、近年は航空券や宿泊施設などを自分で手配する個人旅行客が急増。オリックスの調査では、個人旅行客のうち、細かくスケジュールを決めずに現地到着後に情報収集をするケースは全体の8割にも及ぶことが分かり、同社は「“旅ナカ”の観光情報サイト需要は高い」として本格的に事業参入を決めた。

 訪日客の急増に伴う経済効果はいまや、無視できないレベルに高まっている。観光庁が政府の有識者会議で公表した試算によると、2012~16年で名目国内総生産(GDP)は約40兆円も増加したが、うち2兆円は観光関連の上積み分。分野別では、観光関連のGDP伸び率は23.0%に達しており、輸送機械などとともにトップクラスの水準となっている。

 特に今後も伸びしろが期待できるのは地方観光だ。日本に複数回来た訪日リピーターは17年に1700万人を突破し、地方に足を延ばす傾向がある。だが地方の観光情報は整備途上で、訪日客が旅行前に自国で入手することが難しい。そこで観光関連事業者が、情報サービスで訪日客を自社サービスにつなげようと目をつけていった。

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