29年度の経常収支 前年度比3・4%増の21兆7362億円の黒字 リーマン以降最大

 財務省が10日発表した平成29年度の国際収支(速報)によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支は前年度比3・4%増の21兆7362億円の黒字となり、4年連続で黒字幅が拡大した。比較可能な昭和60年度以降で過去3番目の高水準で、平成20年のリーマン・ショック以降では最大となった。訪日外国人の増加や、世界的な景気拡大を受けて海外子会社の配当金が増えたことなどが貢献した。

 経常収支のうち、海外投資の収益を表す第1次所得収支の黒字額は6・3%増の19兆9105億円に達した。企業買収など日本企業の海外展開が加速していることに加え、債券利子の受け取りも増えたことで、黒字幅が拡大した。

 旅行や著作権料などモノ以外のやりとりを示すサービス収支の赤字は6029億円で赤字幅は前年度の半分以下に縮小。訪日外国人と日本人海外旅行者が現地で使う金額の差を示す旅行収支の黒字は47・5%増の1兆9325億円となり、比較可能な8年度以降で最大となったことが貢献した。

 貿易収支は原油価格の上昇を受けて黒字幅が約20%減少し4兆5818億円だった。