【ハザードマップ】ホテル望洋舘/プラクシス 知名度先行、身の丈見誤り破綻

 ▼ホテル望洋舘 ホテル望洋舘は4月16日、仙台地裁気仙沼支部から破産開始決定を受けた。

 同社は気仙沼市魚町の高台に位置する「ホテル望洋」を経営。気仙沼地域では初の政府登録国際観光旅館となり、多くの観光客が訪れた。地元気仙沼市民を中心に結婚式や各種会合の場としても利用され、1991年2月期には売上高約7億6500万円を計上した。

 だが、その後は市況低迷に伴う観光需要の落ち込みや施設の老朽化などに加え、他の宿泊施設との競合も激化し、減収で推移。2007年2月期の売上高は1億5216万円まで落ち込み、債務超過状態に陥り、一部金融機関の債務がサービサー(債権回収会社)へ譲渡されるなど厳しい経営を強いられた。

 11年3月に発生した東日本大震災では、津波被害を免れたことで、避難所として震災被災者を受け入れるなど貢献。避難所を閉鎖した後は、復旧工事関係者や復興支援ボランティアなどの利用で一時的に業績が回復し、14年3月まではホテル運営を復興ファンドに委託するなどして経営を継続してきた。

 しかし、ホテル周辺の復旧進展で宿泊需要が一服したこともあり、16年2月期の売上高は約7500万円に低下。事業継続には施設の改修に多額の投資が必要だったことから、昨年3月をもって営業を終了していた。

 ▼プラクシス プラクシスは4月3日、東京地裁から破産開始決定を受けた。同社は経営コンサルタント業として、企業戦略のPRやセミナー・イベントなどの企画などを行い、大手を中心に事業基盤を築いていた。また、金谷年展社長はシンクタンクでの経験を生かし環境・エネルギー問題に関する著書も多数あり、メディアへの露出が多かった。

 積極的な事業展開で2017年10月期は売上高約77億4000万円を上げていたが、金融依存度も高く余裕のない資金繰りが続いていた。取引先への支払い遅延も発生、事業継続が困難となり今回の措置となった。

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【会社概要】ホテル望洋舘

 ▽本社=宮城県気仙沼市

 ▽設立=1964年1月

 ▽資本金=9900万円

 ▽負債額=約7億円

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【会社概要】プラクシス

 ▽本社=東京都中央区

 ▽設立=1997年4月

 ▽資本金=1000万円

 ▽負債額=18億1161万円(2017年10月期決算時点)

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 〈チェックポイント〉

 ホテル望洋舘は震災以前は地域を代表するホテルとして、震災後は避難所や復興の拠点として存在感を放ってきたが、老朽化にあらがえなかった。地方では改修時期を迎えた施設の費用を捻出できず営業を断念する宿泊業者が増えている。訪日や東京五輪需要で開業ラッシュに沸く都市部と対照的な動きが広がっている。

 プラクシスは金谷社長の知名度を武器に売り上げ拡大中だったが、オフィス移転や社員増員で経費負担がかさんだ。また、拡大路線の実情は100%に近い外注率での低い利益水準で、運転資金の確保もままならなかった。知名度に依存した身の丈を見誤った経営が招いた破綻事例といえる。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)