【木下隆之のクルマ三昧】プリウスがクラウンより大きくなる!? クルマの肥大化が一気に進むわけ (3/3ページ)

◆インフラの整備が追い付かない

 正面衝突で重要なのは、クラッシャブルゾーンの確保である。その空間確保を、エンジン搭載位置を後退させたり、フレームの材質や形状を見直すことで、極端に伸ばさなくてもすむようになった。それが全長をあまり伸ばさなくてもすむ理由だ。

 エンジンそのものも、直列6気筒が少数派になった(また復活の気配)。シリンダーが並列するために前後に長くクラッシャブルゾーン確保に不利だとされてからである。6気筒のマルチシリンターエンジンが、直列に代わってV型に移行したことで、前後長を極端に伸ばさなくなった。

 街中を走っていて、やたら対向車が気になるのは、走行車線の幅に対してクルマが大きくなったからに違いない。クルマの肥大化に対してインフラの整備が追いつかないのだ。

 いや、インフラ整備に限界があるのならば、そろそろクルマの肥大化は限界に達しているのかもしれない。そのうち、車線内におさまらない乗用車が氾濫する時代になる前に、何らかの手を打つ必要があるかもしれない。

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【木下隆之のクルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は隔週金曜日。

【プロフィル】木下隆之(きのした・たかゆき)

木下隆之(きのした・たかゆき)レーシングドライバー 自動車評論家
ブランドアドバイザー ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。