全銀協 即時処理、異業種競合に対抗 (1/2ページ)

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 全国銀行協会(全銀協)が夜間や休日でも即時決済できる環境を整備するのは、インターネットを使った商取引などが急速に普及し、迅速な決済や送金の需要が高まっているからだ。だが、ITを活用した安価で便利な金融サービスの担い手が銀行以外にも広がる中、銀行間の振り込みの利便性が高まったとしても顧客を囲い込めるかどうかには不透明感がある。

 例えば、ネット通販では入金確認後に商品を発送するケースが多いが、即時決済できれば土日に商品を注文しても迅速に受け取れる。全銀協は「飲み代の割り勘など、個人間のお金のやり取りを取り込めるポテンシャルがある」と期待する。企業間でも売掛金などを土日に受け取ることができれば、資金効率の改善なども見込めそうだ。

 海外では英国やシンガポールなどで既に24時間365日の銀行間振り込みができる。邦銀ではりそなホールディングスが2015年にグループ3行の口座間で開始したが、まだ一部にとどまっており、世界の動きに追いつく格好になる。

 日銀のマイナス金利政策で邦銀は国内利ざやが減少し、業務効率化で店舗や従業員を減らす構造改革を急いでいる。店舗やATMから、利便性が高く管理コストを低く抑えられるネット取引へ顧客を誘導する動きが加速する可能性もある。

 即時決済をめぐってはITと金融を融合したフィンテックの新サービスも相次ぐ。通話アプリLINEを利用した「LINEペイ」では、コンビニなどで事前に利用代金分をチャージすると無料送金が可能になる。

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