なぜプロトタイピングは新規事業のカギを握るのか 「Suicaと香港」で考える (1/5ページ)

 ダイソンは試作品を段ボールでつくる

 新規事業は、成功よりも失敗するケースのほうが多いものです。なぜ失敗してしまうのでしょうか。そのカギを握るのが「プロトタイピング」です。

 モノづくりにおいて、プロトタイピング、すなわち試作品づくりは不可欠なプロセスです。その目的は2つあります。1つは、実際に製品化できるのかどうか、実現性を確認すること。そしてもう1つは、製品のコンセプトが本当に魅力的かどうかを確認することです。例えば、掃除機で有名なダイソンでは、試作品を段ボールでつくり、コンセプトを磨いています。

※画像はイメージです(Getty Images)

※画像はイメージです(Getty Images)

 こうしたプロトタイピングのプロセスは、モノづくりだけでなく、新たなサービスを始める際にも必要です。サービスは製品よりも想定外の要素が多く、1度始めるとやめることが難しいため、モノづくり以上に重要と言えますが、意外と疎かにされがちです。このことは、特にメーカーがサービスに参入する際のハードルになっています。

 スイカ導入の4年前に香港の鉄道が採用していた

 例えば、ソニーが、非接触ICカード技術のフェリカ(FeliCa)を幕張地域のインテリジェントビルの社員証に用いたことがあります。入退室管理もできて便利なため、想定以上に複数のビルで採用されましたが、その結果、電波が干渉して誤作動が起きるようになってしまいました。これは、現場試験というプロトタイピングを十分行わずに撤退したケースと言えます。

プロトタイプとなった「オクトパスカード」