社員が会社に新卒紹介「リファラル採用」 高い定着率、実施企業増加

リファラル採用で今春ウィルグループに入社した大日向くるみさん(右)と紹介した大前和彦さん=東京都内
リファラル採用で今春ウィルグループに入社した大日向くるみさん(右)と紹介した大前和彦さん=東京都内【拡大】

 新卒学生の採用活動で、若手社員らが知り合いを人事に紹介する「リファラル(紹介)採用」と呼ばれる採用手法に注目が集まっている。学生優位の売り手市場が続く中、広がってきた新しい選考スタイルで、入社した後の人材の定着率も高く、生産性向上など働き方改革にも有効となりそうだ。

 若手の学生時代の人脈などをてこに、一般選考では応募してこない人材を獲得する機会を増やそうと、企業は懸命になっている。

 ◆質の高さに手応え

 人材サービスを手掛けるウィルグループの大日向くるみさん(22)は今年4月、リファラル採用で入社した。同社は2016年卒の新卒採用から、内定者が後輩らに声をかけて説明会を開く方法を取り入れている。

 当初は志望していなかったが「先輩の選んだ会社がどういうところか興味がある」と説明会に参加した。「感性が合う」と感じ、面接官の言葉にも後押しされ、最後は同社一本に絞った。

 紹介したのは、現在入社2年目の大前和彦さん(23)。「自分が就活で経験した大事なことを伝えたい」と後輩の大日向さんに声を掛けた。採用担当者は「会社の考え方に共感してくれる学生が多く応募してくれ、質が高い人材が採れる」と手応えを感じている。

 リファラル採用は、実際に働いている社員らが「会社や仕事に合うのでは」と考えて紹介するため、企業が求める人材の採用に結びつきやすいのが特徴だ。学生側も当初考えていなかった業界などに視野が広がり、選択の幅を増やせる。

 また、事実上の1次選考を担当するいわゆるリクルーターとは違い、通常紹介者は選考には加わらない。従来のコネや縁故採用と異なって特別な枠は設けず、紹介者との関係を気にしないで選考する企業が多い。

 リファラルの形はさまざまだ。紹介者が無料通信アプリのLINE(ライン)で後輩の学生に連絡して説明会に誘う例や、エントリーシートに内定者の名前を記入すると1次面接が免除になるケースもある。中途採用でも「どうしても欲しい高水準の人材が採れる」と、取り入れていることを隠す企業があるほどだ。

 ◆従業員の協力不可欠

 リクルートキャリアの「就職みらい研究所」の調べによると、19年卒の採用活動でリファラル採用を実施する予定の企業は全体の14.3%で、18年卒採用に比べ4.8ポイント上昇する見通し。5000人以上の企業では3割超になりそうだ。

 業種別では飲食業やIT関連企業を含めたサービス・情報業が23.7%、建設業は16.9%が予定している。金融業や製造業でも伸びていて、導入を検討している企業も多い。

 リファラル採用に詳しいリクルートキャリアの高橋和彦さんは「成功する企業と失敗する場合に二分される」と指摘する。社員らの行動が鍵になるが、自社に不満や不安がある従業員には協力してもらえないからだ。

 学生には「実際に働いている紹介者に相談しやすいなど、リファラル採用にはメリットも多い。志望する企業にそうしたルートがあれば、つてを探して応募してみる価値はある」とアドバイスしている。