金融

日本郵政、3年間で「成長の種まき」 M&Aや業務効率化に1兆数千億円の投資実施

 日本郵政は15日、3年間で業務効率化などの経営基盤の強化やM&A(企業の合併・買収)に1兆数千億円の投資を実施する方針を明らかにした。同日発表した2021年3月期までの3カ年の新中期経営計画に明記した。長門正貢社長は「今回の中計が最も厳しい3年間になる。今後10年を見据え、成長の種まきをする」と強調した。

 中計では、郵便・物流部門に1800億円を投資するほか、不動産開発など、金融部門でも2700億円を計上するなど、1兆円をかけて経営基盤を強化する。さらに、経営資源を活用するための資本提携やM&A、ベンチャー企業などへの出資に数千億円を投じる。

 同社は、日銀の金融緩和策を背景に、ゆうちょ銀行で低金利による利息収入が低下するほか、郵便物の減少や賃金単価の上昇などで、3年間で最終利益が3700億円減少すると試算した。一方、投資効果による日本郵便とかんぽ生命保険の収益拡大などで補い、21年3月期の最終利益で4100億円超を目指す。

 日本郵便では集荷担当者を荷物の配達に回すなど、人員の配置を見直し、昨年度8億8000万個だったゆうパックの取り扱い個数を3年間で10億5000万個に増やす。かんぽ生命ではリスク性資産の拡大で、運用益を向上。ゆうちょ銀ではITの活用などで効率化を図り、20年度までに17年度比で2000人分の業務、300億円相当のコストを削減する。

 同日発表した18年3月期連結決算は、売上高にあたる経常収益が前期比3.0%減の12兆9203億円、前期は289億円の赤字だった最終利益は4606億円の黒字に転換した。

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