三井住友海上、私学向け保険販売を強化 経済損害リスク増加で備え提供

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 三井住友海上火災保険が、私立学校向けの賠償責任保険の販売強化のため、学校向けにインターネット投稿監視サービスを提供するベンチャー企業のアディッシュ(東京都品川区)と代理店委託契約を締結したことが17日、分かった。体罰やいじめ問題に加え最近は入試の出題ミスなど、学校に対する社会の目が厳しくなる中、経済的な損害が生じるリスクが高まっており、私立学校に幅広いネットワークを持つアディッシュを通じ学校向け保険の浸透を図る。

 三井住友海上によると、私立学校の多くは生徒などがけがをした際の保険には加入しているが、学校が訴えられたり、入試の出題ミスに伴う経済的な損害などに備えた保険はまだ普及していないという。

 ただ問題が発生すれば被害は甚大だ。今年3月には兵庫県福崎町の町立中学でいじめにあったという男性らが町や元同級生らに総額約1億9000万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたほか、昨年7月には埼玉県川越市の市立中学で同級生3人から暴行を受けた少年と市の間で和解が成立し、市などが約1億9740万円を支払うなど、いじめ問題で学校側の責任が問われるケースは少なくない。

 入試の出題ミスに関する報告も増加傾向にあり、文部科学省によると2000年度は33件だったが、16年度は255件にまで増加。三井住友海上の担当者は「ミスが発覚した場合、学生への慰謝料や再入学の手続き、転居費用などが発生すると1人当たり数百万円になることもある」と話す。

 ただ、学校という特殊性から営業活動は難しく、保険が普及しない要因になっていた。そこで、既に全国の私立中学・高校の約2割を顧客に持つアディッシュに営業を委託。アディッシュとしても提案できるサービスの幅が広がるメリットがあるという。