【株式ニューカマー】リーズナブルなクルーズ旅行市場を開拓


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 □ベストワンドットコム・沢田秀太社長

 クルーズ専門のオンライン旅行会社、ベストワンドットコムは中高年の富裕層だけでなく、より若い世代に楽しんでもらうためリーズナブルな商品を供給している。沢田秀太社長は、格安航空券を日本に定着させたエイチ・アイ・エス創業者の沢田秀雄会長兼社長の長男。4月25日に東証マザーズ市場に上場した。沢田社長は「高価なイメージを変えて、クルーズ旅行を日本に普及させる」と意欲をみせる。

 ◆乗船券のみ販売も

 --ビジネスモデルの特徴は

 「クルーズ乗船券とツアー商品をオンラインで検索・予約できるサイトを運営している。1万7000件以上の旅行商品を取り扱っている。既存の大手旅行代理店の場合、ツアー商品がメインだが、当社では乗船券のみの単体販売が売上高の大半を占める。顧客はネット検索で比較検討でき、豊富なラインアップから選んで自由旅行を楽しめる。また、クルーズ旅行は日本ではまだ普及していないため競合が少ない上に、船会社からの販売手数料も高く、収益性にも優れている」

 --日本のクルーズ市場の可能性は

 「日本では10泊以上で1泊当たり5万円以上の高価なイメージがあるが、実際は違う。国際的には、7泊以内の短期間で1泊1万円以下、年齢も20~60代前半の客層が多数を占めている。こうしたイメージからクルーズ旅行者数は、日本が20万人にすぎないのに対して、米国1150万人、英国190万人となっている。日本でも安価で手軽な商品を提供しながら、市場を開拓していきたい」

 --業績の推移は

 「2013年7月期から17年7月期まで、売上高の平均成長率が35.5%と右肩上がりで伸びている。18年7月期には前期比44%増の17億2430万円と高い成長率を持続する見込みだ。経常利益は同じく17年7月期までの平均成長率は5割を超し、売上高以上の伸び率となっている。クルーズ市場を開拓し続けることで、この収益は伸びていくだろう」

 ◆訪日客増が追い風

 --政府は地域振興のため、クルーズ誘致を進めている

 「17年のクルーズ船による外国人入国者数は13年の14倍超となる約253万人に急増した。国も港湾整備を進めることで、従来以上に大型の船が寄港できるようになった。中でも中国を中心にアジア市場拡大による外国船の国内港への寄港は12年から17年の5年間で4倍以上に増えている。これに伴い観光、買い物など地域活性化につながる。当社のビジネスにも大きな追い風となるだろう」

 --今後の事業をどう展開していくのか

 「スマートフォン向けアプリを開発して、より若い客層にアピールする。訪日外国人客(インバウンド)向けには多言語化に取り組み、とくに成長性の高いアジア向けに力を入れる。加えて、旅行代理店やオンライン旅行社に向けた卸売りなど、企業間取引も増やしていきたい」

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【会社概要】ベストワンドットコム

 ▽本社=東京都新宿区富久町16-6 西倉LKビル2階

 ▽設立=2005年9月

 ▽資本金=2億8145万円

 ▽従業員=31人

 ▽売上高=17億2430万円(2018年7月期見込み)

 ▽事業内容=クルーズ旅行、船旅専門オンライン旅行業

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【プロフィル】沢田秀太 

 さわだ・ひでたか 学習院大経卒。2004年日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)入社。沢田ホールディングス取締役、エイチ・エス証券取締役を経て、12年2月から現職。36歳。東京都出身。