【Bizクリニック】グローバル化がオフィス好況の背景に

 □オフィスナビ代表取締役・金本修幸

 オフィスはここ数年で定義が変わるほどの変革期を迎え、既にその渦中にある。それを全国のオフィス市況からひもといてみたい。2018年は大量のオフィス供給を控えて、賃料の低下や空室率の上昇が懸念されていたが、東証REITオフィス指数は5月も高値で推移し、都心5区のオフィス賃料は4月まで52カ月連続の上昇と市況は極めて好調だ。日本のオフィスビル市場は欧米に比べ割安感があるため、海外ファンドをはじめ、中国やシンガポール、アジアの政府系ファンドが不動産投資を増やしている。

 東京では急ピッチで超大型ビル開発が進み、22年ごろまで続くと見込まれる。大型ビルから超大型ビルへの移転に伴い、大型ビルの空室が増える“2次空室”の増加が懸念されたが新たな開発による建て替え移転や外資系企業の進出、大型シェアオフィスの急増などで新規供給分が消化されている。

 新築オフィスビルの募集賃料は上昇傾向にある。大型ビルのテナントの増床も多く、空室率上昇に歯止めがかかっている。賃料は全体的に緩やかな上昇傾向だが、オフィスの大量供給が続くので、トレンドがいずれ変化する可能性は十分考えられる。

 大阪を含む地方都市に目を転じても空室不足が続き、空室率は過去最低の水準だ。この傾向は20年ごろまで続くと予想され、品薄感から賃料が上昇している。地方のオフィス不足に拍車をかけているのは新規オフィスビル供給量の少なさで、大阪、名古屋、福岡、札幌などに共通している。

 地方でオフィスの新規供給量が少ないのは、(1)東京に比べ賃料が低く建築コストの回収期間が長いため、将来の不況を懸念(2)インバウンド(訪日外国人)観光需要に対応する宿泊施設数が不足し、オフィスビル建て替えの際にホテル建設を選択する-などの理由からだ。地方ではオフィスを拡大移転したくても空きがなく、困っている企業が多い。地域経済成長のため、地方の大手ビルオーナー企業には積極的なビル開発をお願いしたい。

 グローバリゼーションの影響はオフィス市況にとっても避けられない。東京は常にニューヨーク、ロンドン、上海などの大都市と比較されて賃料相場も連動している。アジアの急速な経済成長でインバウンド需要が増え、オフィスビルよりホテル建設が選ばれるのもグローバル化の象徴的な動きだ。

 当社は全国主要都市で賃貸オフィス仲介事業を展開し、「オフィスと人をより良くつなぐ」ことを使命としている。この連載が、オフィス移転の参考になったとすれば幸いだ。

 (この項おわり。次回からイーソーコグループの大谷巌一会長が、不動産を活用して物流事業の収益拡大を狙う物流不動産ビジネスを解説します)

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【プロフィル】金本修幸

 かなもと・なおゆき 1993年関西大商中退、地場の不動産会社に入社。住信住宅販売(現・三井住友トラスト不動産)を経て、2002年8月オフィスナビを設立し、現職。オフィス仲介契約は累計約8000件に及ぶ。17年にはシェアオフィスサービス「BIZ SHARE」を札幌、神戸に開設。46歳。大阪府出身。