【高論卓説】熱帯びる新たなビール戦争 販売量争いから多様な味わい提供型に (1/2ページ)

アサヒビールが全国販売する「TOKYO隅田川ブルーイングゴールデンエール」=23日、東京都中央区(平尾孝撮影)
アサヒビールが全国販売する「TOKYO隅田川ブルーイングゴールデンエール」=23日、東京都中央区(平尾孝撮影)【拡大】

 夏の到来とともに、ビール類(ビール、発泡酒、第3のビール)商戦が熱を帯びてきた。ただし、その中身は変容してきている。かつての量をひたすら追うシェア競争から、少量でも多様な味わいを提供するような価値競争が目立ってきたのだ。その象徴はクラフトビールだろう。単品を大量生産することで利益を確保する装置産業の代表格でもあるビール産業だが、多種少量でも価値を生む新しいうねりが起きている。

 ビール類市場は昨年まで13年連続で縮小し、昨年の市場規模はバブルが始まる直前の1986年とほぼ同等となった。当時は業界3位だったアサヒビールが「スーパードライ」を発売したのは翌87年。スーパードライは初年度に1350万箱(1箱は633ミリリットルの大瓶が20本=12.66リットル)を売り、86年にサントリー「モルツ」が打ち立てた新商品の初年度販売記録の185万箱を抜く。スーパードライのヒットが起爆剤となり、市場は右肩上がりで成長。最盛期となる94年には5億7321万5955箱となり、86年と比べて約5割も拡大する。

 戦後の団塊世代の子供である第2次団塊世代が、90年前後から20歳を迎えてユーザーが拡大する時期とも重なっていた。87年から94年の8年間で市場は約1億8500万箱も成長した。しかし、95年から2017年までの23年間で、この拡大した5割は消えて86年のサイズに戻る。現在、ビール、発泡酒、第3のビールと3層ある酒税は26年までに段階的に統一されていく(ビールの税率は下がり、発泡酒と第3のビールは上がる)。その26年、少子高齢化と人口減少が進む日本は、人口の半数を53歳以上が占める。若者のビール離れ、ハイボールや缶チューハイの拡大、今年に関しては業務用を中心に春に実施された値上げなど、市場が縮小していく懸案は複数に絡む。

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