【高論卓説】店舗デザインと知的財産権 意匠法の早期改正で保護範囲を拡大 (2/2ページ)

コメダ珈琲店
コメダ珈琲店【拡大】

 例えば昨年、喫茶チェーンのコメダが和歌山市の喫茶店経営会社に対して店舗外観の使用差し止めの仮処分を申し立て、認められた事例が有名だ。

 このコメダ事件は、わが国で初めて店舗外観などについての差し止めを容認したもので、これまでも訴え自体はあったのだが、裁判所に認められてこなかった。

 もっとも、コメダの相手方の喫茶店経営会社は当初、コメダのフランチャイズに加盟したかったのだが同地区内に既にコメダの他のフランチャイズ店があったため、コメダに断られたという特殊事情がある。要するに、断られたのにコメダの店舗外観に近い外観などを採用した同社の行為は故意に近いものであったということである。

 このように、店舗外観などは、不正競争防止法に基づいて一定の保護を受けることができたものの、「商品等表示」として認められるには、高い識別力を備えていなければならず、それなりにハードルは高い。

 仮に店舗外観が意匠権で保護されていれば、裁判時に識別力を備えていること(特別顕著性と周知性)の立証をする必要はなくなる。

 もちろん、意匠権は、特許庁に出願し「新規性」などが審査されて初めて権利が発生するものであるから、一定のハードルがあるものの、識別力の立証に比べれば低いハードルであろう。早期の意匠法改正が望まれる。

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【プロフィル】溝田宗司

 みぞた・そうじ 弁護士・弁理士。阪大法科大学院修了。2002年日立製作所入社。知的財産部で知財業務全般に従事。11年に内田・鮫島法律事務所に入所し、数多くの知財訴訟を担当した。17年に溝田・関法律事務所を設立。知財関係のコラム・論文を多数執筆している。41歳。大阪府出身。