【論風】激化する国際イノベーション競争 日本が採るべき3つの方策 (3/3ページ)

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 第1に、イノベーション意欲を高揚することである。それには技術の自前主義を脱却し、縦割りを打破し、産官学の連携を拡大し、国際共同研究を進め、海外研究者を招くことである。

 第2に、イノベーション人材の充実を図ることだ。人材こそ基礎。好奇心、チャレンジ精神、戦略思考の人材を育て、かつ失敗を許容する社会風土を取り戻すことだ。大学などの教育研究機能を抜本強化しなければならない。

 第3に、戦略的政策立案機構を再編成することだ。米国や中国の政策力は強い。これを超える意欲を持って、AIなど新しいフロンティアの開拓に向け戦略的な強化策を打ち出し、民間機能との連携を進めなければならない。

【プロフィル】福川伸次

 ふくかわ・しんじ 東大法卒、1955年通商産業省(現経済産業省)入省。86年通産事務次官。88年退官後、神戸製鋼所副社長、副会長、電通総研社長兼研究所長を経て、2005年から機械産業記念事業財団会長、12年4月から現職。86歳。東京都出身。