パナ、車載電池を軸に攻め 家電は利益率5%へ、全事業の成長狙う

 今年3月に創業100年の節目を迎えたパナソニックが攻めの経営に打って出る。30日に東京都内で開いたIR説明会では全部門での中期的な成長を掲げた。家電や電材は新興国市場の開拓で収益を伸ばし、成長エンジンと位置付ける車載電池で飛躍する青写真を描く。ただ、車載電池は中国勢の攻勢が急で、激化する電池の生存競争を勝ち残れるかが再成長に向けた鍵を握る。

 家電を扱うアプライアンス社では、2020年度に連結売上高3兆円(17年度は2.9兆円)、営業利益率を5%(3.7%)に引き上げる計画を打ち出した。市場成熟の国内は高級路線で採算を改善し、中国では高級エアコンなどで富裕層の需要を取り込む方針だ。

 照明器や建材を扱うエコソリューションズ社はインドや南アフリカでの拡販などで、20年度に売上高2.27兆円(1.96兆円)、営業利益率5.5%(4.1%)を目指す。航空機内のエンタメシステムなどを提供するコネクティッドソリューションズ社は中期の数値目標は示さなかったが、樋口泰行社長(パナソニック専務執行役員)が「非製造業で増える省人化需要の取り込みを図る」と述べ、企業向けの問題解決ビジネスを伸ばす考えを示した。

 車載事業などを手掛けるオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は昨年のIR説明会で示した車載事業の売上高を21年度に2.5兆円(1.7兆円)へ引き上げる目標を堅持。電気自動車(EV)向けなど車載電池の拡大が柱となるが、同分野をめぐっては、昨年、パナソニックを上回り世界トップになった中国の寧徳時代新能源科技(CATL)が日本に営業拠点を開設するなど、競争は激化の一途。田村憲司上席副社長(パナソニック常務執行役員)は「(価格で争うのではなく)技術で戦う」とし、強みである高出力、高容量などの性能で差別化を図る考えを示した。ただ、中国勢は大型投資の継続で一気呵成(かせい)の市場席巻を目指しており、電池でパナソニックが劣勢に立たされれば、計画自体の修正を迫られる恐れもある。(今井裕治)

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 ■パナソニックの各カンパニーの主な中期目標

 ・アプライアンス(家電など)

 2020年度に連結売上高3兆円(17年度は2.9兆円)、営業利益率5%(3.7%)

 ・エコソリューションズ(照明、建材など)

 20年度に売上高2.27兆円(1.96兆円)、営業利益率5.5%(4.1%)

 ・コネクティッドソリューションズ(航空機内エンタメシステムなど)

 IoT(モノのインターネット)を活用した企業向け生産性向上サービスの提供

 ・オートモーティブ&インダストリアルシステムズ(車載電池、自動車部品)

 21年度に車載事業の売上高を2.5兆円(1.7兆円)に引き上げ自動車部品メーカートップ10入り