高いFCV、水素社会に黄信号 インフラ整備進まず 海外のEV急シフトも逆風 (1/3ページ)

川崎市にある水素ステーション=3月(ブルームバーグ)
川崎市にある水素ステーション=3月(ブルームバーグ)【拡大】

 石油の代替エネルギーとして研究されてきた水素。空気中の酸素と化学反応させて発電する燃料電池は、車や家庭用エネファームの用途で普及が期待されてきた。発電時に水しか出ず、クリーンとされる。燃やしても二酸化炭素(CO2)を排出しないため水素自体を燃焼させる水素発電の構想もある。だが、燃料電池車(FCV)の普及の大幅な遅れもあり、水素社会計画は難航している。

 環境規制を厳格化

 「もっと安くしないとFCVは永遠に普及しない。2025年に車両価格をハイブリッド車(HV)並みにしてください」。水素議連は自動車メーカーやエネルギー会社との会合で繰り返し訴えた。東日本大震災後初のエネルギー基本計画の改定を翌年に控えた2013年、自民党の衆院議員だった福田峰之氏の「水素活用の議員連盟をつくりたい」との呼び掛けを契機に、経済再生担当相だった甘利明氏や河野太郎氏ら有力議員が加わり発足した水素議連。福田氏らは経済産業省に働き掛ける一方、自動車やプラントメーカー、ガス会社などを巻き込んで水素社会の青写真を描いた。

 かつて1台数億円したFCVは700万円台まで下がり、補助金を利用すれば500万円台で購入可能になった。とはいえ補助金込みで約300万円の電気自動車(EV)や200万円台のHVと比べると開きは大きい。企業からは議連の号令に悲鳴が上がった。

 議連の提言を受け、政府は「水素・燃料電池戦略ロードマップ」で水素の本格活用を段階的に進める目標を掲げた。これに共鳴し先陣を切ったのがトヨタ自動車とホンダだ。トヨタは14年に「MIRAI(ミライ)」を発売。世界初の一般向けFCVと話題になった。16年にはホンダが「クラリティ フューエルセル」で追随した。

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