【知恵の経営】お客さまは神様か 行き過ぎた顧客満足を思う (1/2ページ)

  先日「『お客さまは神様』は正しい? 実は長時間労働生む大きな原因、問題はどこに?」という記事を目にした。それによれば、「お客さまは神様です」という言葉を生んだ演歌歌手の三波春夫氏は、お客さまの言うこと、求めることを果たすことが提供者の絶対的使命とは決して言っていないという。

 その記事で紹介された本当の言葉の意味は次の通りである。

 「三波春夫にとっての『お客さま』とは、聴衆・オーディエンスのことです。客席にいらっしゃるお客さまとステージに立つ演者、という形の中から生まれたフレーズなのです」

 「あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な芸をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客さまを神様とみて、歌を唄(うた)うのです。(中略)演者にとってお客さまを喜ばせるということは絶対条件です」

 つまり「お客さまは神様」というのは、提供する人(主)とされる人(客)の一般的関係を指した言葉ではなく、演者が観客を異界へ誘う、芸能という特殊な世界での言葉だったのだ。

 それが、いつしか企業が自己犠牲を払い、お客さまにとことん尽くすのが当たり前という捉えられ方に変わってきてしまった。確かに、お客さまに嫌われた会社や商品・サービスに未来がないというのは間違いではないとは思うが、では、お客さまが喜ぶなら、企業・社員が自己犠牲を払ってまで、顧客満足を高めればよいのだろうか。それは行き過ぎていると考える。

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