【高論卓説】青学、日本初の「シンギュラリティ研」設置 (1/2ページ)

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 ■AI社会、文系目線で読み解き

 大学は今、過当競争にさらされている。1992年には200万人を超えていた18歳人口は少子化の影響で2009年には122万人まで減少、大学全入時代が開幕したといわれた。その後18歳人口は横ばいが続いていたが私学の4割近くが定員割れの状態、地方では廃止に追い込まれる大学もでてきている。

 そして18年からは18歳人口はさらに減少し、31年には100万人を切るとすらいわれており、「2018年問題」として多くの私学が危機感を抱いている。さらに20年からは国立大学の授業料無償化も検討されていることから、都心の人気私立大学も安穏としてはいられない。

 そうした中で今年4月から新しい取り組みを始めたのが青山学院大学(東京都渋谷区)だ。これまでは若者のファッションの発信地「青山」という土地柄と「英語教育」に力を入れていることなどで女性には特に人気で、私学の中でも勝ち組とみられてきたが、日本の大学としては初めて「シンギュラリティ研究所」を設置した。

 シンギュラリティ(技術的特異点)とは人工知能(AI)や仮想通貨、自動運転技術など新しい技術が発達し、人間の知性を超えることによって、人間の生活に大きな変化が起こるという概念のことだ。一般には45年には到達するといわれている。AIを導入することによって仕事の効率は上がる一方で人の仕事の半分以上がなくなってしまうのではないかといった不安の声もささやかれる。

 実際に米大手証券のゴールドマンサックスはAIによる金融取引の自動化を進めたことで600人いたトレーダーが2人になっている。日本の大手メガバンクでもAI導入に伴って大幅な人員削減を進めている。

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