シャープPC事業、2年で黒字化 戴社長、鴻海仕込みの構造改革に意欲

シャープの戴正呉社長=2017年8月、堺市の同社本社
シャープの戴正呉社長=2017年8月、堺市の同社本社【拡大】

 シャープの戴正呉社長が6日、東芝からの買収で再参入するパソコン事業への意欲を表明した。これまで東芝では5年連続の赤字となってきたが、2年以内に黒字化すると宣言。競争激化やスマートフォンの普及で市場環境は厳しいが、シャープを再建させた構造改革をパソコン事業でも徹底する構えで、台湾・鴻海精密工業仕込みの経営手腕が再び試される。

 「2年前のシャープと同じだ。必ず改善できる」。戴社長は共同通信などの取材に自信をのぞかせた。

 鴻海グループ出身の戴社長は、シャープが経営危機で鴻海の傘下に入った2016年8月に就任。細かな経費にまで自ら目を光らせる徹底したコスト改革や、成果に応じて賞与に大きな差がつく「信賞必罰」の人事制度など、独特の経営スタイルで再建を進めてきた。

 性急な変革が社内の摩擦を招く懸念も指摘されたが、業績は急回復し、18年3月期の連結最終損益で4年ぶりの黒字化も果たした。パソコン事業も1~2年で赤字を脱却し、中国や米国などへの海外展開も視野に入れる。

 ただ最初の試金石となる国内のパソコン事業の強化は、市場の縮小もあり一筋縄ではいかない。電子情報技術産業協会によると、最近の国内出荷台数は13年度の1210万台をピークに減少が続き、17年度は676万台まで落ち込んでいる。シャープは電子機器の受託生産の世界最大手である鴻海のノウハウも活用して攻勢をかける考えだが、先行きは険しい。

 一方で、戴社長は人工知能(AI)などの進化やグローバル競争の激化で「人材と技術が必要になる」とも強調。東芝の優秀な技術者を確保できるのも買収のメリットだとして、AIを搭載したスマート家電などの分野でも生かしながら相乗効果を生む戦略を描いている。