【光る社長 普通の社長】失敗しない実習生受け入れ術

 □アジア・ひと・しくみ研究所代表 新井健一

 前回まで3回にわたり、最も多く技能実習生を日本に送り出している“ベトナム”にフォーカスを当ててきた。最近はありがたくも現地の送り出し機関(日本語やマナーを教える学校)からの手紙や訪問依頼、インタビューの機会などをいただくことが増えたが、現地のインタビューで、あるベトナム人の言葉が気にかかった。

 「親日派として知られるベトナム人は7X世代(1970年代生まれ)で、活躍する9X世代(90年代生まれ)は特に親日派ではないし、アジアでの日本の存在感はそれほど大きいとは感じない」

 もはや“日本”というブランドはASEANで通用しないのか-。例えば、外務省が2014年3月に香港の調査会社、lpsos香港に委託して実施した「ASEAN(東南アジア諸国連合)7カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、ミャンマー)における対日世論調査結果」によれば、「日本、米国、ロシア、中国、韓国、オーストラリア、インド、イギリス、フランス、ドイツのうち、最も信頼できる国は?」という質問で、第1位は日本の33%、第2位米国16%、その他は10%を大幅に下回る結果が出た。

 評価ポイントは、技術的に進んでいるが81%、経済的に進んでいる62%、自然の景色が美しい国62%、加えて、文化的に豊かな国という意見もあった。また、強く関心を示した上位3項目は、科学技術、生活・考え方、食文化。この結果から日本という国に興味はなくても文化や自然、食文化には強い関心を示していることがわかる。

 現在、スペインをモデルに急速に観光立国化していく日本、技術力や経済力は海外に移転できても、自然が織りなす景色、食を含む文化全般や生活・考え方などに直接触れる醍醐(だいご)味だけは、「その時、その場」でしか味わうことができない。

 だからこそ日本企業は、ASEAN諸国民の認識や関心をしっかり受け止め、彼らの知的好奇心の受け入れ体制を積極的につくり、それを地域経済活性のための起爆剤にしてほしい。

 新しい挑戦には莫大(ばくだい)な時間とコスト、エネルギーが要る。すべては社長の覚悟一つで、輝かしい時代を再び迎えられるか否かが決まる。全国の社長が、それぞれの輝きを放ちながら経済を再び盛り上げてくれることを心から願っている。(おわり)

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【プロフィル】新井健一

 あらい・けんいち 早大政経卒。大手重機械メーカー、外資系コンサルティング会社、医療・IT系ベンチャー役員などを経て、経営コンサルタントとして独立。人事分野で経営管理や経営戦略・人事制度の構築、社員の能力開発・行動変容に至るまで一貫してデザインできる専門家。45歳。神奈川県出身。