【動画で紹介】白州12年、響17年…ウイスキー出荷停止、テレビCMにも余波 (2/4ページ)

サントリーの「山崎」と「白州」
サントリーの「山崎」と「白州」【拡大】

  • 山梨県北杜市のサントリー白州蒸溜所
  • サントリーの白州12年
  • サントリーの響17年

 アサヒグループHD傘下のニッカウヰスキーでも26年に「竹鶴12年」、27年に「余市」と「宮城峡」の熟成年数を表記した商品の販売を終了した。これも原酒不足が原因。他の人気商品も出荷を限定するなど、綱渡りの状況だ。

 原酒不足の理由は、ウイスキー市場の縮小・拡大の乱高下だ。昭和58年に年間38万キロリットルとピークだった市場はその後、減少の一途をたどり、平成20年には5分の1程度の7万1000キロリットルに落ち込んだ。

 焼酎に押されたことが大きな要因だ。スタイリッシュなボトルなど、イメージ刷新が、若者にも受け入れられるようになったほか、本格焼酎も押し上げた。さらに、価格がウイスキーよりも安いことから、バブル経済崩壊による景気低迷の中で、消費者が焼酎にシフトし、完全にウイスキーが押された。

 これが一転するきっかけを作ったのが、ウイスキーを炭酸水で割った「ハイボール」ブームだ。若者には新しいお酒、中高年には懐かしいお酒として、注目され、徐々に市場を取り返した。加えて、NHK連続テレビ小説「マッサン」の効果がさらに市場を広げることになり、29年には16万キロリットルと、底だった20年の約2.2倍まで回復した。

 しかし、サントリーもニッカも10年ごろには、当時の市場規模10万キロリットル以下が続くことを想定し、そのレベルの生産体制を数年前までとっていた。3~4年前に増産を始めたが、今必要な熟成10年以上原酒は足りない。これが原酒不足の最大の背景だ。

海外での高評価も拍車