記者会見では、昭和9年に設立された半官半民の国策会社、日本製鉄に関する質問も出た。新日鉄の前身である八幡製鉄と富士製鉄は、戦後の25年に日本製鉄が解体されて誕生した経緯があるからだ。しかし、進藤社長は「(復活は)あまり意識していない」と否定した。実際、新社名が「にっぽんせいてつ」と読むのに対し、戦前の日本製鉄は「にほんせいてつ」で、英文も「ジャパン・アイアン&スチール」と異なる。
日本発祥にこだわったのは、「海外の会社と組むときに、日本の製鉄会社と明記した方が(相手も)分かりやすい」(進藤社長)といった、ビジネス上のメリットがあるからだという。
ただ、このままでは日本の鉄鋼メーカーが消えうせてしまうとの危機感があるのは確かだろう。
同社はオバコ買収と併せて、持ち分法適用会社の山陽特殊製鋼を子会社にすると発表。社名変更と同じ日に、日新製鋼の完全子会社化も発表している。旧新日鉄と旧住金の統合作業が一段落し、新たな企業が加わる中、攻めに向けてグループの再結束を図る必要もあった。理由の説明で「包摂的」という表現を使ったのはそのためだ。