生命、社会を弱体化させる「AI依存」 東京経済大・西垣通教授 (1/3ページ)

インタビューに答える東京経済大教授の西垣通さん
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 --AI(人工知能)ブームが来た理由について

 「2012年ごろ、ディープラーニングというAI技術が登場しました。例えば、それまでのAIにネコを認識させるには顔が丸い、動きが敏捷(びんしょう)といった情報を人間がコンピューターに教え込む必要がありました。ディープラーニングはネコの大量の画像をもとに特徴を自ら抽出して学習します。技術の原型はありましたが、コンピューターの性能が向上し実用レベルになりました」

 高度な読解は苦手

 --AIに過剰な期待があると指摘する

 「AIという言葉は米国のコンピューター学者の議論の中で1956年に生まれました。60年代の第1次ブームは、ゲームやパズルなど論理だけで解ける小さな世界でした。80年代の第2次ブームでは、もっといろいろなことをできるようにしようとAIにさまざまな知識を教え込みました。医療診断や法律解釈への応用が期待されましたが、論理で割り切れない曖昧な部分に対応できませんでした。ディープラーニングはそういった部分も統計処理で一定の規則を見いだし解析します」

 --AIには向き不向きがあるようだ

 「たとえばフェイクニュース対策ではAIは期待薄です。AIは歴史や政治といった高度な文脈には歯が立たず、ニュースの真贋(しんがん)は見分けられません。フェイクニュースは今後さらに深刻になるでしょう。一方、国内で膨大な数に上る老朽インフラの監視や補修、医療データの解析など機械的に情報を判定、処理する方が、効率がよい分野にはAIは有効です。人間を代替するのではなく、人間を助け、人間の能力を拡張する使い方を目指すべきです」

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