【Sakeから観光立国】福岡県初の酒イベント 地域経済に貢献

福岡初の酒イベント「&SAKEFUKUOKA」に出展した蔵元ら関係者=福岡市博多区
福岡初の酒イベント「&SAKEFUKUOKA」に出展した蔵元ら関係者=福岡市博多区【拡大】

 □平出淑恵(酒サムライコーディネーター)

 5月26、27日の週末、福岡市博多区の福岡国際センターで、福岡県酒造組合と福岡県主催のイベント「&SAKE FUKUOKA」が開かれた。県内の55蔵、地元の有名飲食店30軒が協力し、福岡県史上初の酒のイベントとなった。全国の酒のイベントの視察も含め、構想に3年、実働に2年を費やしたという。

 福岡は、かつて兵庫の灘、京都の伏見に並ぶ日本酒の銘醸地として名をはせ、いまも堅調な市場だ。しかし、首都圏では「九州は焼酎」のイメージが強く、福岡も焼酎が主流と思われがち。加えて、福岡は転勤族も多く、人口も伸びている大きな市場で、飲食店で出される日本酒は地酒ばかりではないのが現状だ。こうした市場環境の中で、福岡の日本酒の存在感を高めていくためにと、企画されたイベントだ。

 初めてのイベントということで、当初は2日間で1万人の来場者を想定していたが、実際には初日の26日に8000人、2日目の27日に7000人と計1万5000人が来場し、大盛況となった。

 イベントは酒も料理も「&」と呼ばれるコインで購入し、一杯一杯、一皿一皿じっくり楽しむというスタイルで、飲み放題ではない。さらに、開場時間は、初日が午前11時~午後6時、2日目は午前11時~午後5時と集まった来場者が、イベントの後に地域の飲食店に立ち寄ることができるように設定してあった。

 &SAKE FUKUOKA実行委員長で、福岡県酒造組合の江崎俊介会長は「福岡という都市圏で、福岡の酒と食に舌つづみを打ってもらい、福岡の酒と食をアピールしたい」と狙いを語った。

 このイベントも「当然、一過性ではなく、長く続けていくことを前提としている。福岡を代表する酒のイベント、そして日本を代表する酒のイベントに育てていきたい」と将来にわたって地域経済に貢献していくことを強調した。

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【プロフィル】平出淑恵

 ひらいで・としえ 1962年東京生まれ。83年、日本航空入社、国際線担当客室乗務員を経て、2011年、コーポ・サチを設立、社長に就任。世界最大規模のワイン審査会、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)のアンバサダー。日本ソムリエ協会理事、日本酒蔵ツーリズム推進協議会運営委員、昇龍道大使(中部9県のインバウンド大使)などを務める。