自動運転、商用車で覇権争い 新技術と物流サービス一体の提案鍵 (3/3ページ)

路線バスが自動運転で停留所に寄せるデモ=5月、東京都羽村市の日野自動車羽村工場
路線バスが自動運転で停留所に寄せるデモ=5月、東京都羽村市の日野自動車羽村工場【拡大】

 ただ、トヨタなどの経営コンサルティングを受け持つドリームインキュベータ(東京都千代田区)の竹内孝明執行役員は「技術だけでは勝ち残れない。サービスまで含めると日本勢は周回遅れだ」と厳しく評価。運輸事業者が保有する車両の運行管理や故障予知などを支援し稼働率向上につなげる力量が各社に試されると指摘する。

 先行は欧州勢

 新技術を生かしたサービスで先行するのが欧州勢だ。大型商用車の世界市場でトップシェアを握る独ダイムラーは、車載センサーから得た大量の走行データを顧客への運転指導や燃費改善などに反映することにとどまらない。現在、20年末に「レベル3」相当の自動運転トラックの市販化に向けて実証実験を進めているほか、物流の入り口から出口まで一貫して自動化することももくろむ。

 一方、30年を見据えた自動運転技術などのロードマップを表明したUDトラックスもサービスを重視。同社のヨアキム・ローゼンバーグ会長は「技術を活用し顧客の要望に応える『輸送ソリューション』のリーダーを目指す」と意気込む。

 自動運転分野に投資した多額の開発費を回収するためにも、顧客との接点を強めて継続的に利益を生むサービスが重要だ。竹内氏は「商用車メーカー同士で組むだけでなく、物流事業者や商社などの異業種とも協力し新サービスを開発する必要がある」との課題も投げかける。

 電気自動車(EV)メーカーのテスラやグーグル系企業などの米国勢が自動運転トラックの走行実験などを加速。中国勢も巻き込み次世代市場の覇権争いが過熱する中、自動運転技術で稼げるサービスを提案する力が勝負の分かれ目となる。(臼井慎太郎)