株価低迷や年賀状ノルマ、株主から不満の声 日本郵政、定時株主総会

株主総会に参加する日本郵政の株主ら=20日、東京都港区
株主総会に参加する日本郵政の株主ら=20日、東京都港区【拡大】

 日本郵政は20日、東京都内で定時株主総会を開き、人事案などを可決した。ただ、株主からは株価の低迷などに対する不満や社員の労働環境の改善を求める意見が出た。

 長門正貢社長は5月に発表した平成32年度までの中期経営計画について説明。「(低金利の継続で)平成30年度は利益が大きく落ち込むが、1株あたりの配当額は50円以上としている」と理解を求めた。

 日本郵政は29年3月期連結決算豪物流子会社、トール・ホールディングス(HD)をめぐる巨額減損損失計上し、民営化後初の最終赤字に転落。30年3月期連結決算は最終利益が4606億円の黒字に転じたが、株価の低迷は続いている。

 株主からは「買収前の株価水準を超えるように、トールHDの業績回復に注力してほしい」と要望が出た。諫山親常務執行役は「豪州経済の減速、社内的な統合について不十分だった」と分析、「人員削減などで回復基調にあると認識している」と回答した。

 別の株主は「郵便局員の知り合いから年賀状を買ってくれといわれた」と社員への販売ノルマの存在を指摘し、労働環境の改善を求めた。衣川和秀専務執行役は「給与などのモチベーションを高めることは非常に重要。賃金水準の維持向上に努めていきたい」というにとどめた。

 総会は長門社長ら取締役15人の選任案が承認され、約1時間40分で閉会した。出席した株主は昨年より544人多い1382人だった。