【トップは語る】独ボッシュ 日本から技術革新を起こしたい


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 □独ボッシュ日本法人社長 クラウス・メーダーさん(56)

 --自動運転や電動化など次世代技術をめぐる部品メーカー間の開発競争が激化している。勝ち残りに向けてどういう強みを発揮していくか

 「強みの一つが車の制御に必要なセンサーを集積した『MEMS(メムス)』(微小電子機械システム)で、その生産量は世界最大だ。これを人間にたとえると『五感』だ。『筋肉』を担う駆動装置などのほか、『頭脳』となる車載コンピューターでも経験を積んできた。ボッシュの日系自動車メーカーへの売上高は2013年以降、前年比で年平均2桁の伸びで順調に増加している」

 --技術革新はビジネスモデルの転換も迫っている

 「製品を売り切る従来のビジネスモデルを転換し、人の移動などを支援する『モビリティーサービス』のプロバイダーとして事業領域を広げたいと考えている。既にボッシュは3月、ドイツと中国でサービスの専門組織を立ち上げた。日本でもいずれ組織を設置したい」

 --日本で拡大を狙うモビリティーサービスは

 「一つが、車に搭載されたセンサーが衝突を感知し自動的に緊急通報を行う『eコール』だ。昨年、メルセデス・ベンツなどの欧州自動車メーカーに提供した。さらに、車の機能を無線で更新するサービスや無人の車両が駐車場を自動走行し駐車するサービスについて、日本への導入を検討している。ただ、すべてのサービスを自社で完結することはできないため、オープンな姿勢で協業関係を広げたい。M&A(企業の合併・買収)や投資も選択肢に入れている」

 --技術開発を担う人材も鍵を握る

 「車の電動化で部品点数が減少する一方で、一つ一つの部品やシステムは複雑化する方向にある。これを踏まえて、特に自動運転に必要な車両制御に関する技術者を増やす計画だ。日本から技術革新を起こしたい」

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【プロフィル】クラウス・メーダー

 独ダルムシュタット大卒。1987年独ボッシュ入社。同社でシャシーシステム・コントロール事業部副事業部長やオートモーティブ・エレクトロニクス事業部事業部長などを歴任。2017年7月から同社日本法人社長。ドイツ出身。