東海第2原発、安全審査に合格の公算 「大きな山超えた」規制委、審査書案取りまとめへ

耐震性試験後に設備を調査する日本原子力発電と原子力規制庁の職員ら=21日、兵庫県三木市(鵜野光博撮影)
耐震性試験後に設備を調査する日本原子力発電と原子力規制庁の職員ら=21日、兵庫県三木市(鵜野光博撮影)【拡大】

  • 報道陣に公開された、日本原子力発電東海第2原発の設備の耐震性を調べる実験=21日午前、兵庫県三木市
  • 日本原子力発電東海第2原発の設備の耐震性を調べる実験で、結果を確認する原子力規制委の委員ら=21日午前、兵庫県三木市

 日本原子力発電が再稼働を目指す東海第2原発(茨城県東海村)の工事計画認可にかかわる耐震性試験が21日、兵庫県で行われ、原子力規制委員会の山中伸介委員は「大きな山を越えたと思う」と評価した。遅れていた工事計画認可の審査が前進したことを受け、規制委は事実上の合格に当たる設置変更許可に向けた審査書案の取りまとめを近く行う見通しとなった。

 東海第2は運転40年を迎える11月下旬までに、新規制基準への適合を示す設置変更許可と、施設の詳細設計についての工事計画認可、さらに運転延長認可の3つを得る必要がある。工事計画認可の遅れから規制委の更田(ふけた)豊志委員長は「認可の見通しが立たなければ設置変更許可はできない」としていた。

 ただ、合格とされても審査が期限までに終わるかは予断を許さず、山中氏は「危機的状況は変わらない」とも述べた。

 この日公開されたのは、工事計画認可に必要とされる最後の試験。防災科学技術研究所の施設で、事故時に原子炉建屋内の蒸気を自動的に外に逃す「ブローアウトパネル」の動作時に気密性を保つ設備(縦6メートル、横11メートル)を実験装置に乗せ、想定される最大の揺れを加えた。

 山中氏は「いくつかトラブルがあったが、細かな数値や対策は審査会合で議論したい」とコメントした。東海第2の審査については、原電の対応の遅れから、山中氏と更田氏が一時は審査を打ち切る可能性に言及していた。