世界初の細胞分析分離装置 東大発シンクサイト 1秒に1万個以上処理

 東京大学発ベンチャーのシンクサイト(東京都文京区)は、世界初となる細胞の分析分離装置を開発した。これまで、顕微鏡で形を人が見ながら行ってきた細胞の分類作業を、人工知能(AI)を使うことによって、1秒間に1万個以上処理できる。

 大量の細胞を形態で評価・選別できるようになることで、血液や体液の診断、再生医療や細胞治療など、高い安全性や信頼性の求められる医療に役立つとみられる。

 今年度中に臨床研究を開始し、来年度にはシンクサイトが研究用プロトタイプの装置を提供する予定という。

 具体的には、光イメージング技術、機械学習技術、マイクロ流体技術などを融合させた細胞分類方法「ゴーストサイトメトリー」を確立した。

 高速で細胞の蛍光イメージを計測し、機械学習でリアルタイム解析し、マイクロ流体中で選択的に取り分ける技術を可能にした。機械の“目”によって、大きさが同じで人の目で見ても形の似ている細胞でも、高速で撮像し、その画像情報を基に高い精度で細胞を取り分けることができる。

 シンクサイトは、東大先端科学技術研究センターの太田禎生准教授の研究成果を基に、東大や大阪大学、理化学研究所に所属する研究者が、組織の枠を超えて、2016年2月に設立した。

 なお、同社は15日付で、起業支援のリバネスやユーグレナが出資する「リアルテックファンド」、科学技術振興機構(JST)、大阪大学ベンチャーキャピタルから総額3億5000万円を調達した。