スバル新経営体制、厳しい船出 株主総会、不正で企業体質ただす声

スバルの株主総会会場に入る株主ら=22日午前、東京都目黒区
スバルの株主総会会場に入る株主ら=22日午前、東京都目黒区【拡大】

 SUBARU(スバル)は22日、東京都内で開いた定時株主総会後の取締役会を経て、中村知美社長をトップとする新経営体制をスタートさせた。ただ総会では、株主から相次ぐ不正を起こした企業体質や経営陣をただす厳しい意見が相次いでおり改革への実行力が問われる。

 総会後の取締役会で、中村専務執行役員が正式に社長へ昇格。前社長の吉永泰之氏は最高経営責任者(CEO)も退き、代表権のない会長に就任。中村氏が経営のかじ取りを、吉永氏が企業風土の改革を進める新体制が始動した。

 吉永氏は総会の冒頭で、昨年10月以降に相次いだ新車の無資格検査や燃費・排ガスデータの書き換え問題に触れ、「度重なる心配と迷惑をお掛けしていることをおわびする」と陳謝。その上で、信頼回復に向けて再発防止策の徹底に努める決意を述べた。

 総会では、熱心なスバル車ファン「スバリスト」を自任する株主からも厳しい意見が浮上。「不正が二度と起こらないように調査をどう進めるのか」「不正の予防に向けて内部統制をどう働かせるか」「現場に通い意見を聞いているのか」などと問いただした。

 「技術偏重を見直すとスバルらしい商品を提供できるか心配だ」との声も浮上。これに対して吉永氏は「技術を大事にしながら、国の定めに基づくルールを順守したい」と回答した。

 総会には、昨年より300人多い851人の株主が出席。総会時間は、昨年より48分多い2時間21分だった。