【家電Watch】象印、炊飯器の最上位機「炎舞炊き」

象印マホービン第一事業部長・山根博志氏
象印マホービン第一事業部長・山根博志氏【拡大】

  • 象印マホービンの圧力IH炊飯ジャー「炎舞炊き」
  • 象印マホービン広報部長・西野尚至氏

 ■好調の南部鉄器は終了へ

 象印マホービンが、炊飯器の新たなフラッグシップモデル「炎舞(えんぶ)炊き」を7月21日に発売する。これまで展開してきた「南部鉄器 極め羽釜」は終了し、今後は「炎舞炊き」が同社炊飯器の最上位機種になるという。IH(電磁加熱)炊飯ジャー市場のトップシェアを誇る同社の南部鉄器は、長期にわたって高い評価を得てきた。なぜ、好調の南部鉄器を終了し、新たに炎舞炊きを展開するのか。

 ◆100周年の原点回帰

 「象印マホービンは今年で創業100周年を迎えます。今回発表した炎舞炊きは、100周年記念モデルというわけではありませんが、記念すべき年にふさわしい史上最高のおいしさを実現できたと、自信を持って言える製品です。南部鉄器もおいしいごはんを炊けましたが、炎舞炊きはそれを超えるおいしさです」。象印マホービン広報部長の西野尚至氏がそう言った。

 炎舞炊きを開発するに当たり、同社はどうすればさらにおいしさを高めることができるかを考え、炊飯の原点に立ち返って「かまど炊き」を再度検証したという。

 象印マホービン第一事業部長の山根博志氏は、かまど炊きに着目したことについて次のように述べた。

 「かまど炊きには、コメでんぷんのα化を促進させる適度な圧力、羽釜で熱を封じ込める均一加熱、吹きこぼれるほどの大火力という、おいしい炊飯のポイントが凝縮されています。かまど炊きから学ぶことは多いと考え、奈良の古民家で実際にかまどでごはんを炊き、新たな発見がないか探しました」

 かまど炊きを再度検証したところ、炎が激しく揺らぎながら、釜を部分的に加熱していることに着目。これが、かまどで炊いたごはんのおいしさの一つと考え、具体的な開発に進んだという。

 ◆3つのIHヒーター

 釜を部分的に加熱し、かまど炊きの炎の揺らぎを再現するため、炎舞炊きで採用したのは、業界初となる3つのIHヒーターだ。現行モデルは、本体底にヒーターを1つのみ搭載し、ムラなく全体を加熱することに注力していた。

 これに対し、ヒーターを3つ搭載することで、集中的な部分加熱ができるようになった。ヒーターをそれぞれ独立制御する「ローテーションIH構造」を採用。部分加熱により、釜内に温度差が生じることで激しい対流が起こり、コメの甘みを引き出したふっくらとしたごはんが炊けるとしている。

 「かまどの強い炎を電力で表すと約2750ワット。これを現代の炊飯ジャーと比較するために単位面積当たりで示すと、1平方センチ当たり約6ワットになります。現行モデルの電力は、1平方センチ当たり約3ワットです。大火力の炎舞炊きはそれらを超え、1平方センチ当たり約12.5ワットを実現しています。炎舞炊きでは、かまど炊きをも超えるパワーで炊飯できるようになったのです」(山根氏)

 炎舞炊きは、激しい対流が起き、かき混ぜ効果があることも実証された。白米と玄米を混ぜた3合のコメを炊いたところ、従来の「南部鉄器 極め羽釜 NW-A型」では底面に玄米が沈んでいたのに対し、「炎舞炊き NW-K型」は底面から天面まで、白米と玄米が混ざり合っているのが確認できた。

 ◆軽量で洗いやすく

 3つのIHヒーターの熱を効率良く伝えるために、内釜も改良している。これまでは、岩手県の伝統工芸品「南部鉄器」を採用していたが、炎舞炊きでは素材や形状を一新し、「鉄~くろがね仕込み~ 豪炎かまど釜」を採用した。

 IHとの相性が良く発熱効率や蓄熱性が高い鉄と、熱伝導性の高いアルミ、蓄熱性・耐久性にも優れたステンレスを組み合わせたもので、炎舞炊きを生かす形状に改良されている。羽釜の要素も取り入れ、釜の縁を特に厚くすることで釜側面の熱が逃げるのを抑えて、効率良く加熱できるという。

 「熱伝導性が高いアルミや蓄熱性のあるステンレスなどを採用することで、スピーディーに熱を伝えて激しい対流を起こせます。また、アルミやステンレスを採用したことで、内釜の軽量化という副産物も生まれました。これまで南部鉄器で炊くおいしさを優先し、内釜が重いという声に目をつぶっているところが正直ありました。新しい内釜はかなり軽くなっています」(山根氏)

 南部鉄器の内釜が約2キログラムだったのに対し、豪炎かまど釜は約1.2キロ。持ち運びやすく、洗いやすくなったという。

 5.5合炊きの「NW-KA10」は、本体サイズが幅275ミリ、奥行き345ミリ、高さ235ミリで、重量は約8.5キロ。炊飯時消費電力は1240ワット。1升炊きとともに「黒漆(くろうるし)」と「雪白(ゆきじろ)」の2色を展開する。店頭予想価格は税抜きで5.5合炊きが12万円前後、1升炊き12万5000円前後。

 炎舞炊きで炊いた白米を試食してみると、確かに甘さがしっかり感じられる。粒立ちも良く、ふっくらとしたごはんは、おかず要らずで白米だけでも十分に楽しめる味わいだ。

 10月には大阪・難波に、炎舞炊きで炊いたごはんと和食が楽しめる常設店「象印食堂」もオープンする。炊飯器市場を牽引(けんいん)する象印マホービンの挑戦はさらに続く。(インプレスウオッチ)