【リーダーの素顔】SABON Japan社長・黒石和宏さん


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 ■天然成分にこだわり 日本進出10年

 天然成分にこだわるイスラエル発の化粧品ブランド「SABON(サボン)」を日本で展開する「SABON Japan(サボンジャパン)」。進出10周年を迎え、国内店舗数は40を超えた。黒石和宏社長は「サボンブランドを武器に地方創生や観光立国などにも関わりたい」と意欲的だ。

 --サボンはどのようなブランドなのか

 「死海のミネラルが詰まった手作りのせっけんなどはラベンダーなどの天然オイルが配合され、香りが心地よく、手を洗うとつるつるになる。店舗内の手洗い場で実際に体感できます。初めて出合ったのはニューヨークの店舗。当時働いていたスターバックスコーヒージャパンの『コーヒーではなく夢を売っている』という理念に通じるものがあると感じました」

 --スターバックスではどのような仕事を

 「1996年にオープンした日本1号店にアルバイトとして入社し、やがて店舗運営に携わるようになりました。12年間の在籍中に800店舗、従業員2万人という大きな組織になり、最終的には副社長待遇の役職を務めさせていただきました」

 --サボンの日本法人はスムーズに立ち上がったのか

 「四苦八苦ですよ。出合いからオープンまで約3年かかりました。伊藤忠商事や住友商事などもサボンに接触していましたが、『サボンを好きなスタッフや仲間は増やすことができる』といった熱意が理解され、2008年の初出店にこぎつけました」

 --これまでの業績は

 「順調ですね。原動力の一つである出店戦略では、『その土地がどの方角を向いているのか』などスターバックス時代の経験知にこだわっています。培ってきた人脈からの情報などにも支えられています」

 --今後の成長戦略は

 「サボンブランドを使って外部と連携しながら、地方創生と観光立国をライフワークに据えようと思っています。海外の優れたものを日本に普及させるだけでなく、日本の製品を海外に知らしめることを次のステージの基軸に置きたいですね」

 --上野の森美術館で開催中の「ミラクル エッシャー展」ではイスラエル博物館所蔵の作品が日本初公開され、サボンとのコラボレーションによる展示会グッズが販売されている

 「作品に何を託しているのかといったストーリーを模索しながら芸術作品に接することは大切なこと。コラボを通じてアートの世界を広げたいです」(伊藤俊祐)

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【プロフィル】黒石和宏

 くろいし・かずひろ 米マウントユニオン大卒。スターバックスコーヒージャパンを経て、2007年にSABON Japanを立ち上げ、社長に就任。08年に1号店を出店した。49歳。大阪府出身。

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 ≪DATA≫

 【全米走破】高校卒業後に米オハイオ州の大学に入学。7年の滞在中、自動車による米国本土横断を2回、縦断を1回行った。学んだ教訓は「逃げたら人生は終わる」。

 【阪神タイガース】45年間にわたるファン。組織論やリーダーシップ論の格好の教材で、「あの監督や選手が活躍していた時代、どういった手を打ったのかなどを分析するのはすごく楽しいし、奥深い」。

 【キャプテン】サボンジャパンは家族のような社風で個々の従業員が責任を負いながら泳いでいる感じ。自身は“代表取り締まられ役”社長としてキャプテンのような存在。異業種交流でも「一緒にやろうぜ」という雰囲気を出すようにしている。