多死社会「50兆円相続」に地銀活路 (1/3ページ)

地銀と大手銀の連携が進む(ブルームバーグ)
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 今年130万人、2年後は140万人-。高齢化社会日本の毎年の死亡者数は、銀行にとっては長く付き合った顧客の喪失を意味する。資金流出を食い止めようと、地方銀行では顧客資産を次世代に引き継ぐ「遺言代用信託」の提供が急増している。

 遺言代用信託は、信託銀行などに財産を託すことで速やかに配偶者や子供に財産分与する仕組みで、年金のように定期的に一定額を渡すことも可能。信託協会によると、2009年に年間13件だった新規受託は、昨年約1万5000件に増加。累計では15万件の利用がある。

 対象の6割が流出

 茨城県の筑波銀行は昨年、みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ信託銀行と提携して遺言代用信託の取り扱いを始めた。個人預金残高の6割以上が60歳以上の顧客という同行にとって、高齢者との接点強化や被相続人の囲い込みは急務。導入後は予想以上の反響があり、契約者との相談実績は100件程度となった。

 低金利環境から、地銀の過半数で顧客向けサービス業務による利益がマイナスとなる中、資金流出の食い止めは喫緊の課題となっている。フィデリティ退職・投資教育研究所が17年にまとめた調査によると、推計相続市場は約50兆円。地銀では相続対象の約6割に上る資金が他行などに流出している。

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