イノベーションと「職人流」で勝負 日本の中小企業が伸びゆくために (1/3ページ)

【安西洋之のローカリゼーションマップ】

 今週、熊本に行ってきた。

 熊本イノベーションスクール Project180という、地元の中小企業でイノベーターを育成していくプログラムのオープンセミナーで講演するためだ。お題目は「世界で伸びている中小企業は何が違うのか」。

 これまでに書いた本『世界で伸びている中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『デザインの次に来るもの』、監修をした『突破するデザイン』、ある雑誌に連載している『Made in Italyの経営戦略 存在感ある中堅・中小企業の深層』をネタとして話した。

 どこの中小企業にとってもイノベーションという言葉は、やや心理的距離感を持ちやすい。技術力のある大企業や威勢のよいスタートアップの「十八番」と考えられている節がある。

 EUの2010年から10年間の大きなプロジェクトであるイノベーション政策が、テクノロジーに依存しない地方の中小企業や行政を対象の中心に据えているのは、こうした壁の打破を目論んでいる証だ。

 そして行政には問題解決型のイノベーション、中小企業には意味のイノベーションの相性が良い。行政は市民の声をすくいやすいシステムに注力し、中小企業は自らが考えるビジョンに突き進むのに躊躇しないのが良い。

 そのために中小企業では、この3点が重要ではないか、と話した。

(1)0→1のイノベーションよりもアップデイト(例えば、かつて評価の高かった意味の再発見)

(2)新しい社会的意味・価値をつくる(大企業と中小企業の間に力量としてまったく差がないテーマだ)

(3)1人1人が深く考えることが起点(意味のイノベーションは広さよりも深さが大切だから1人の思索は必須)

地方と大都市圏の参加者でチームを組む