参加された方たちが、ぼくの話をどのように受け止めていただいたのか、本当のところはよく分からない。ただ、小手先の工夫でイノベーションを狙えるわけではないが、かといって多大な投資をしないと近づけないテーマであるとの恐れを抱く必要はまったくない、という趣旨が幾分か伝わったとすれば嬉しい。
それにしても、この熊本イノベーションスクール Project180というプログラムは興味深い。というのも参加する熊本の中小企業8社のそれぞれのメンバー1人に対して、東京などの大都市圏から2人が参加して1つのチームを作るのだ。
地方都市であろうが大都市であろうが、何か新しいことをやろうとすると、必ず足を引っ張る人たちが出てくる。だから新しい試みが、「別のローカルの文脈であれば受けるよ」と軽くコメントしてくれる仲間がとても大切である。もちろん市場開拓のための強力なサポーターにもなる。
一方、大都市で仕事をする少なからぬ人たちも、大都市だけが価値の全てを担っているわけではないことを痛切に感じている。それなのに全ての価値を背負っているような顔をしている。そこに落ち着きのなさや何らかの息苦しさを感じている。
このような人たちにとって、距離の離れたところにいる顔の見える人と一緒に仕事ができるのは願ってもない機会だが、なかなかとっかかりがない。また、よそ者が歓迎される場でもあって欲しい。
このプログラム構想は、これらのコンビネーションが上手く考えられている。