【高論卓説】働き方改革が人事部門にもたらすもの 一律管理から多様な社員対応へ転換 (2/3ページ)

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 2点目の生産性を上げる観点からは、会議時間の短縮のためのリーダー層の「ファシリテーションスキル」や、若手社員の「マルチタスク管理スキル」の向上に取り組む企業が多い。私の20年来の能力開発演習経験を踏まえると、マルチタスクの優先順位付きとスケジューリングの巧拙は、他の社員のアクションを待ってから実行すべき業務や、その期間に実施しなくてもよく、いわば一旦机の下に落としてもよい業務に分けることができるかどうかにかかっていると考えている。日本のビジネスパーソンは業務を机の下に振り分けることが不得意で、業務を自分で抱え込み過ぎて結局実行できなくなってしまうことが多いからだ。

 3点目の多様化する社員の意欲をいかに高めるかという点は、難易度が高い。働き方改革関連法に沿って企業が実施するアクションの展開によっては、社員の意欲を低下させてしまう恐れがあるからだ。例えば、一律の残業時間規制は、目標達成に向けてチャレンジする意欲が高い人のやる気を減殺させる。多岐にわたる働き方改革の取り組み事項を網羅的に管理しようとすると、自律裁量によりモチベーションが上がりやすい人の意欲を低下させる。

 一律で網羅的な取り組みでは、働き方改革の実行が立ち行かない理由はそこにある。社員それぞれが持つ意欲を高める要素(モチベーションファクター)に働き掛けて、多様な社員の意欲を高めることができるかどうかに、働き方改革の実現はかかっている。そして、そのことは、企業の成長とともに大規模組織を管理することに注力してきた企業の人事部にとっては、高いハードルだ。

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