トヨタ自動車が、燃料電池車(FCV)の普及に向け商用車に活路を求めている。来年春からコンビニの配送に小型トラックの活用を始め、バスやフォークリフトへの展開も進める。燃料を短時間で補給できるFCVは稼働率が高い商用車に適しているとみており、商用導入を契機に水素ステーション整備や乗用車の販売増加といった好循環につなげたい考えだ。
トヨタは2014年に乗用車のFCV「MIRAI(ミライ)」を売り出した。だが、水素ステーションの少なさが壁になり、販売は苦戦している。ステーションは首都圏など都市部を中心に約100カ所しかなく、販売台数は5月末時点で約2300台にとどまる。
一方、トラックなどの商用車は走る経路が限られているため、水素ステーションが少なくても短所になりにくい。1日に数百キロ走ることもある商用車でFCVが増えれば水素の需要が高まり「閑古鳥が鳴いている」(関係者)とも言われるステーションの経営安定にも寄与しそうだ。