【日本発!起業家の挑戦】AIでオーダーメードの学び方を提供 アタマプラス・稲田氏に聞く (5/5ページ)

アタマプラスCEOの稲田大輔氏
アタマプラスCEOの稲田大輔氏【拡大】

 教育現場には人の介入が必要だという考えは興味深い。これは、海外を中心に展開するEdTech企業のほとんどの主張に反する考え方だ。しかし、稲田氏が言うように、学びのプロセスは単に事実や問題の解き方を脳に流し込むだけではないのだろう。

 知識やスキルはもちろん大切だが、それと同程度あるいはもっと重要なのは、私たちの教育制度、私たちが子供たちに何をどう教えるかが何よりも私たちの社会を定義するということだ。私たちはそれぞれが育った国、育った時代によって、皆が一連の知識を共有し、自国の歴史に関する認識を共有し、ある程度似たような体験を共有し、似たような壁に直面してそれを乗り越えて成長していくのだ。

 教育を通じて得た体験は私たちが何者であるかの大部分を占める。もしかしたら、教育制度や教育業界をディスラプト(破壊)するのが難しいのはそれが理由かもしれない。

 教育は効率と低価格によって必ずしも改善しない領域だ。個別指導での生徒の反発、教室で一緒に机を並べて学ぶこと、学ぶ者同士が数学の難しさについて文句を言い合い、問題が解けた喜びを分かち合うというようなとてつもなく非効率に思えることに、より大きな価値があるといえるのではないだろうか。

 稲田氏はそれを理解した上で、AIによる教育改革を目指している。アタマプラスの挑戦は、生徒一人一人の学習体験だけでなく、社会全体を変える大きな可能性を秘めている。

 文:ティム・ロメロ

 訳:堀まどか

【プロフィル】ティム・ロメロ

 米国出身。東京に拠点を置き、起業家として活躍。20年以上前に来日し、以来複数の会社を立ち上げ、売却。“Disrupting Japan”(日本をディスラプトする)と題するポッドキャストを主催するほか、起業家のメンター及び投資家としても日本のスタートアップコミュニティーに深く関与する。公式ホームページ=http://www.t3.org、ポッドキャスト=http://www.disruptingjapan.com/