【スポーツi.】障害者の競技大会、「手作り」は美徳か 東京パラ以降に生かせる「力」を (2/2ページ)

車いすバスケットボールの国際大会「三菱電機ワールドチャレンジカップ2018」で日本代表は初優勝した=6月10日、東京都調布市
車いすバスケットボールの国際大会「三菱電機ワールドチャレンジカップ2018」で日本代表は初優勝した=6月10日、東京都調布市【拡大】

 先月行われた車いすバスケットボールの国際大会は、新設された武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)のメインアリーナで、決して少なくない観客を集めて行われた。しかも、障害者スポーツとしては異例で、アリーナ席は有料席として販売された。日本代表チームが世界の競合と渡り合える力が、障害者スポーツに「見る」スポーツとしての価値を生み出したのかもしれない。今は大きな成果ではなくても、21年以降の発展に向けての糧となったことは間違いないだろう。会場では、子供たちを対象とした付帯イベントが開催されたり、整理誘導に専門スタッフを起用したりするなど、観客の満足度を少しでも向上させようとする取り組みが随所に見られた。

 発展への意志事業化

 手作りイベント。いかにも日本らしい響きの言葉である。しかし、手作りでは未来は築けない。障害者スポーツはもちろんのこと、健常者のスポーツとて、そのことに違いはない。スポーツの価値を高めるとは、スポーツの中にだけある価値観を守り通すことではない。「スポーツ側」がそうだと思い込んでいる価値観のみを捉えることではない。

 多様で多くの人々を巻き込んで、発展していくための意志を強く持ち、その意志を具体的に事業化していくことである。その先には、健常者のスポーツとは異なる戦略基盤で、「稼ぐ」ということに真正面から向き合っていく局面も生まれてくるに違いない。

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【プロフィル】今昌司

 こん・まさし 専修大法卒。広告会社各社で営業やスポーツ事業を担当。伊藤忠商事、ナイキジャパンを経て、2002年からフリーランスで国際スポーツ大会の運営計画設計、運営実務のほか、スポーツマーケティング企画業に従事。16年から亜細亜大経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科非常勤講師も務める。