【高論卓説】働き方、評価のポイントは時間から成果に 求められる企業のあり方 (1/2ページ)

入社式で記念撮影をするパナソニックの経営陣と新入社員ら=4月、大阪府枚方市
入社式で記念撮影をするパナソニックの経営陣と新入社員ら=4月、大阪府枚方市【拡大】

 働き方改革関連法が成立し、日本企業は一層の生産性向上を迫られていく。欧米企業に比べ、労働時間が長いのに生産性が低いのは日本企業の特徴だ。同法によりムダな残業は減っていくだろうが、時間軸から成果軸へと評価のポイントを変えていかざるを得ない。

 このコラムに以前も書いたが、成果主義は導入されて四半世紀を数えるものの、日本に定着していない。米企業では、営業部長や開発責任者といった職(ジョブ)で報酬が決まる職務給が適用される。職務内容は明確に規定され、報酬に占める成果部分は職の序列が上位にいくほど高い。

 一方、新卒を4月に一括採用する日本企業は、職ではなく人を基準とする職能資格制度がベース。部下を持つ課長でも、持たない課長代理でも資格が同格なら処遇は基本的に変わらない。職務内容は曖昧であり、成果を評価しにくい。しかも、責任を分散するための手続きや重要案件の決定には時間を要し、残業はどうしても増えた。

 米企業の幹部はみな職務専門家であり、人事権は部門長が持つ。日本企業の幹部は総合職であり、人事権は人事部が持つ。このような構造の違いが、成果主義が定着できない要因でもある。日本の雇用慣行でも、新入社員の4月一括採用などは20代の雇用を安定させるメリットはある。

 しかし、構造改革もできていないのに、いたずらに労働時間短縮ばかりを進めようとすれば、日本企業の競争力が喪失されていく懸念は拭えない。好景気を背景に今は人手不足であり、働き手にひたすら優しい環境だ。が、良き時代はいつか終焉する。

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