増える「社外議長」、金融庁も後押し  

 日立が社外取締役を取締役会議長に登用するなど、企業の最高意思決定機関である取締役会の議事運営を担う議長に社外人材を据える企業が増え始めた。金融庁が今年、改訂した企業統治の行動指針では、企業に対し取締役会の実効性や客観性を高めるよう求めている。行政が背中を押す形で社外取締役の議長就任がさらに広がる可能性がある。

 議長の社外登用は銀行などで先行したが、最近は不正問題を契機に据えるケースも増えている。外部の視点を取り入れ、企業統治改革につなげる狙いからだ。

 平成27年5月に不正会計問題が発覚した東芝は、同年9月に元資生堂社長の前田新造社外取締役(今年6月で退任)が議長に就任した。さらに、今年6月27日には三菱ケミカルホールディングス会長の小林喜光社外取締役が議長に就任。2代続けて社外取締役が議長を務めることになった。

 29年10月にアルミ部材などの品質不正問題が発覚した神戸製鋼所も同様だ。今年6月21日に元経産省事務次官の北畑隆生社外取締役が議長に就いた。これまでは、会長が議長を兼務していたが、不正問題を受け会長職を廃止したため、社外人材を議長に据えた。

 ただ、それでも社外人材の比率は少数だ。経産省調べによれば東証1・2部企業での社外取締役の議長の割合は28年9月末で2%にとどまる。議長を社外とする動きが拡大するかは、先行企業が企業価値向上という結果を残せるかにもかかっている。(今井裕治)

 取締役会議長 経営事項全般を決定する権限を持つ取締役会の議事を主宰する。会社法での定めはなく、定款に基づき会長や社長が兼務するケースが多い。議長は、取締役の互選で選ばれ、定款や取締役会の規則に基づき取締役会の招集、議題の決定、議事進行などを担当する。議長次第で取締役会の運営が変わるため、社内の取締役が担う方が、経営執行部の思惑通りに進めやすい。